内容説明
「…要約してしまえば、どんな緊急で突発的にみえる主題も、永続的な根本的な主題のすがたをはらんでいるかとおもうと、どんな永続的な悠久の貌をした主題も、かならず緊急で、突発的なすがたをはらんであらわれるということだ」。批評の冒険は、価値・生命・言語・自然・神といった、一見古典的な主題へと向かう。伝統への回帰でも、新しい弁神論の試みなのでもない。これもまた、現在を追いつめ、同じに現在によって追いつめられた、のっぴきならない思考の身振りであり、世界視線という方法の戦略的実践なのだ。分離と解体を経て、いまや大きく拡張された場所から見えてくるものは何か。待望の連作第2弾。
目次
拡張論
幾何論
自然論
分散論
パラ・イメージ論
段階論
普遍喩論
視線論
表音転移論
著者等紹介
吉本隆明[ヨシモトタカアキ]
詩人・評論家。1924年、東京月島に生まれ、佃に育つ。東京工業大学卒業。詩集『固有時との対話』、『転位のための十篇』(荒地詩人賞受賞)。詩作のほか、理論誌『試行』を主宰しつつ、『言語にとって美とは何か』、『共同幻想論』などを発表、戦後思想家としての評価を確立した。常に時代の波頭に立つ、セルフ・メイドの思索者。作家よしもとばななの父
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感想・レビュー
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あふもん
2
Ⅰに比べるとかなり難しくなる。モノゴトを様々な方向から見る方法は勉強になります。2010/04/16
静かな生活
0
ジャンルわけ不可能。2020/11/24
bittersweet symphony
0
前半中盤は経済社会システム・言語システムの吉本流解析。各ジャンルでの妥当性に関しての判断は素人にはもはや不可能ですが、認識の多様性(比較論)的な所をいかにおさえるかに留意して読むのが良いのかもしれません。中盤から後半は南島論や音韻論、宮沢賢治をテーマにした文章表現の重層性についてなど、初期の論点を敷衍しつつ議論を深化させているといえますか。この時期の吉本さんの印象とは違い、発表された当時の時代性のようなものはほとんど感じられないように思います。2012/06/05