内容説明
有機体論が国王二体論へと移行するためには、時間観念の導入が要請される。王が団体の頭であるにせよ、団体そのものであることは含意しないし、また団体の永遠性を保証はしないからである。団体観念を時間的に構成することで初めて、連綿たる王朝が恒久的な団体として、王がその体現者、不死鳥にも似た単独法人として捉えられ、ここに、個々の王の自然的身体からは独立した、非人格的な政治的身体が秩序の基盤となる近代国家が生まれる。王権の擬制的性格を克明に跡づける著者の筆は、ダンテ『神曲』の分析に至って、処女作に見える理想的支配者への憧憬を漂わせながら、円環を閉じる。全二巻。
目次
第6章 連続性と団体(連続性;真理の似姿としての擬制)
第7章 王は死なず(王朝の連続性;擬制としての王冠 ほか)
第8章 人間を中心とする王権―ダンテ
第9章 エピローグ
著者等紹介
カントーロヴィチ,エルンスト・ハルトヴィヒ[カントーロヴィチ,エルンストハルトヴィヒ][Kantorowicz,Ernst Hartwig]
1895‐1963年。ドイツに生まれ、アメリカで活動したユダヤ系歴史家。ポーゼン(現ポーランド領ポズナニ)出身。ベルリン、ミュンヒェン、ハイデルベルクに学ぶ。フランクフルト大学教授。1939年アメリカに亡命、カリフォルニア大学を経て、プリンストン大学高等研究所教授
小林公[コバヤシイサオ]
1945年、横浜市生まれ。東京大学法学部卒。東京大学助手、立教大学講師・助教授を経て、現在立教大学法学部教授。法哲学・法思想史専攻
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