内容説明
私たちの祖先は死をどうとらえ、死者をどう弔ってきたのだろうか。広範に収集した資料を比較研究し、各地の葬送習俗のもつ意味、以前持っていた意義を探し求め、その推移変遷のあとをたどる。死者の魂はどこに行くのか、生き残った者の無事はどうすれば確保されるのか、あの世とこの世はどこで出会うのか、古来の祖霊信仰は仏教とどう結びついて儀礼に形を残しているのかなどのことがらを通して、葬式に込められた日本人の死生観と霊魂信仰を解き明かす。いまではもう見ることができない貴重な習俗を記録し、日本の葬儀民俗を考察した代表的著作。
目次
千ごり万ごり
出歩く魂
たまよばい
招魂と鎮魂
霊魂と水
猫のたましい
耳ふさぎ
死人の善光寺まいり
御霊前
死体のあつかい〔ほか〕
著者等紹介
井之口章次[イノクチショウジ]
1924年、兵庫県生まれ。国学院大学学部国文科卒業。文学博士。財団法人民俗学研究所所員として、全国各地の民俗調査に従事。また、長年国学院大学の民俗学研究会を指導した。日本民俗学会理事、三鷹市文化財専門委員会会長、杏林大学教授などを務める
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感想・レビュー
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ひるお
1
『日本の葬式』というタイトルではあるが、どちらかというと「日本人と死」といった内容。もちろん火葬や土葬、葬列などにみられる作法や風習、その背景も収録されてはいるのだが、死に瀕した人の魂を呼び戻すまじないに始まり、生まれ変わりのエピソード、盆の行事など、扱われるトピックは幅広い。「日本人の他界観」で整理される、神や祖霊が通ってくる/住まう場所としての天と山の差異など、目から鱗の論点も。一方で、故人(=個人)をどう悼むか、という部分はあまり扱われておらず残念。そうした点は民俗学の範疇外になるのかもしれない。2025/09/02
いちはじめ
1
日本の葬儀の習俗について記した古典的著作。元々は1965年刊2002/11/20
かみいゆ
0
資料として読了。 1965年発行ながら、現代を予見しているような記述もあったりと、とても興味深い。貴重な書籍です。2017/08/12
あみか
0
疑問に思った古くからの習俗の意味がおぼろげながら判った。2021/09/02