内容説明
20世紀前半、日本の統治下にあった満州、朝鮮、台湾の主要都市では、いずれも計画的な街づくりが実施された。中でも、満州国の首都、新京=長春では、先進的な都市計画の理念と社会資本整備の技術が全面的に適用された。豊かな緑とオープンスペース、公園的な並木道、人工湖など、日本国内では実現していない、美観とゆとりを重視した理想的な都市計画が出現した。今日、長春は中国有数の「森の都」となっている。1945年当時、進駐した米国ウェデマイヤー将軍が「傑作」と激賞した都市計画が、なぜ、東京では実現してこなかったのか。戦後半世紀にわたって封印されてきた壮大なスケールの都市計画の全容がいま甦る。土木学会賞受賞。
目次
序章 新京と近代日本都市計画
1章 前史―長春の起源
2章 満鉄の都市経営と市街計画
3章 長春の市街地と都市成長
4章 満州国の首都計画
5章 国都建設計画事業一九三三‐三七年
6章 国都建設第二期事業と末期の百万都市計画
7章 新京の建築様式と建築の政治的表現
終章 新京と東京
著者等紹介
越沢明[コシザワアキラ]
1952年生まれ。東京大学大学院工学系研究科博士課程修了。現在、北海道大学大学院工学研究科教授、国土交通省の社会資本整備審議会委員、財団法人都市計画協会理事。主著に『東京都市計画物語』(ちくま学芸文庫)、『東京の都市計画』(岩波書店)(両著作により、日本都市計画学会石川賞、日本不動産学会賞、日本造園修景協会賞受賞)などがある
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