内容説明
フランス・ノルマンディーのスリジー=ラ=サルで行なわれた「ニーチェは、今日?」というテーマの討論会の記録。現行の政治体制や制度に対する有効な“対抗=運動”として、「闘争と戦略の新しい行動の再創造」の必要性が痛感されるなか、スリリングな読解と白熱した討論が展開される。クロソウスキーの“陰謀”、リオタールの“メタモルフォーズ”、ドゥルーズの“脱領土化”。とりわけデリダの発表「尖鋭筆鋒の問題」は、統一的なニーチェ像やニーチェ思想の統一的解釈ではなく、新しいテクストとの関わり方、いわゆる「脱構築的読解」の見事な実演である。詳細な註と解説を付す。
目次
悪循環(ピエール・クロソウスキー)
回帰と資本についてのノート(ジャン=フランソワ・リオタール)
ノマドの思考(ジル・ドゥルーズ)
尖鋭筆鋒の問題(ジャック・デリダ)
著者等紹介
林好雄[ハヤシヨシオ]
1952年生まれ。東京大学仏文科卒業。駿河台大学助教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
踊る猫
21
フランス思想のスターたちがニーチェを斬る。どの論考も極めてスリリングでありそれ故にもう少しこなれた日本語で読みたかったところだが、それはまあ初学者の私からのケチということでお許しいただきたい。ニーチェはしかし、誰によって読まれるべき哲学者なのだろうか? 別の言い方をすればなぜニーチェはかくも熱心に読まれる哲学者なのだろうか? 本書の哲学者たちはハイデガーを経由したニーチェの読みを施し、ハイデガーからニーチェを取り返しまっさらな場所に持っていくことを目指しているかのようだ。つまり、意外と真っ当な読解をしてる2020/04/02
ラウリスタ~
12
やっぱり20世紀後半のフランス思想の文章は意味が分からない。ニーチェについて語っている部分(まあごく一部なのだが)は、言わんとするところは分からないでもが・・・。デリダ的な文章ってどうなんだろ、生で聞いてみんな理解してたのかな、あんなのらりくらりと論理構造を無視し矛盾を恐れず、どこにも中心がないものを。ぽつんぽつんと降ってくる断片を拾うぐらいしか出来ないな。ニーチェはあまり関係なく、70年代にニーチェがフランスでどうこねくり回されてきたかという講演集。2014/08/12
どらがあんこ
10
個人的にはドゥルーズがクロソウスキーとリオタールが述べた強度を取り上げりつつ、ブランショを活用して「主体」「アフォリズム」「外」の構図にとどめを刺しているから、そこでお腹いっぱいになってしまった。逆にバックアップと考えるとドゥルーズが一番優しく(?)読める。(4人の中でだけども)そのあとデリダが来るんですけどね…2019/05/18
なっぢ@断捨離実行中
8
ニーチェの現代的意義をはかる上でこれ以上の良書はちょっと見当たらない。ニーチェを退屈な人生訓に貶める凡百の入門書を読むくらいなら(もちろん難解は承知の上で)本書を当たるべきだ。討論会に参加しているクロソウスキーとドゥルーズには単独のニーチェ論があるので、その入り口にも格好。同一のものへの回帰ではなく、根源的な差異への回帰ーーこの永遠回帰概念なくして現代のニーチェ論も政治運動も語れないし、少し毛色の違うデリダの議論は、フェミニズムを語る上で外せない(ラカン派の『女は存在しない』とも共鳴)。2017/07/25
はすのこ
5
ドゥルーズらしさや、デリダらしさが垣間見れる貴重な対談?である。2017/02/12
-
- 電子書籍
- 適応制御 システム制御工学シリーズ10