内容説明
20世紀最大の詩人のひとりW.B.イェイツは、千変万化する現象界に目を注ぐ一方、その奥に時空を超えて存在する神秘な世界を垣間見、心の二元性に逢着し、言い知れぬ苦悩を味わった。そして、彼自身の秘教的思想を披瀝する『幻想録』の体系構築を行なう。それは、生死を繰り返す人間の魂の変貌を、盈虚する月の28の相になぞらえ、「大車輪」のなかに位置する28の顕現体として動的に捉えると同時に、人間の歴史の流れをも、キリスト教文明の終わりを予期するなかで、「歴史の円錐」の動きとして把握する。イェイツの芸術、思想の真髄。
目次
エズラ・パウンドにあてて
マイケル・ロバーツとその友人の物語―彼の弟子による記録抄
月の諸相
第1編 大車輪
第2編 象徴の完成
第3編 審判に臨む魂
第4編 古代人の大年
第5編 鳩か白鳥か
周期の終末
万霊節の夜―一つのエピローグ
著者等紹介
イェイツ,ウィリアム・バトラー[イェイツ,ウィリアムバトラー][Yeats,William Butler]
1865‐1939.ダブリン生まれ。アイルランドの詩人、劇作家、批評家。象徴的、幻想的な抒情詩によって高い評価と名声を得、また、アイルランド文芸劇場創設に尽力するなど、演劇の世界でも輝かしい足跡を残した。1923年にノーベル文学賞を受賞し、20世紀最大の詩人のひとりと目される
島津彬郎[シマズアキラ]
本名・島津昭。広島県生まれ。京都大学大学院修了。現在、明治大学名誉教授、日本イェイツ協会会員
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