内容説明
1858年、ダーウィンとともに自然選択による進化論を発表したアルフレッド・ラッセル・ウォーレス。ロンドンを遠く離れ、熱帯の島々で漂本用の昆虫や鳥類を採集しながら旅を続けていたウォーレスはどのように生物進化の理論に至ったのか。『マレー諸島』をはじめ残された著作や書簡を読み解く一方、進化論誕生当時の博物学の動向を視野に収めつつ、この不屈の博物学者の足跡を英国からマレー諸島に追い求め、論理と思想の展開を綿密かつ周到に跡づける労作。第51回毎日出版文化賞受賞。
目次
アマゾンからの敗退―探検博物学者の誕生
独学の博物学者―勤労青年が自前で探検できた時代
マレー諸島へ―種の起原をもとめて
サラワク(博物学に「万有引力の法則」を;観念論との闘い)
「ふしくれだった樫の木」―系統樹をめぐる試行錯誤
境界線を越えて―狭くて深い海と広くて浅い海
第二ウォーレス線―種とはなにか、変種とはなにか
香料諸島にて―マラリアとマルサス
「種の起原」―産地テルナテ、採集者A・R・ウォーレス殿
旅はまだつづく―論争のはじまり
著者等紹介
新妻昭夫[ニイズマアキオ]
1949年、札幌生まれ。1987年、京都大学大学院理学研究科博士課程修了。専攻は動物学・博物学史。現在、恵泉女学園大学教授
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