内容説明
子規により近現代の文学として開かれた俳句の世界。以来多くの俳人が輩出したが、彼らは一体何を表現してきたのか。本書は昭和期以降、現在までの俳人126人の代表句(俳句表現史的にみて優れたもの)を選び、鑑賞の基本、作品成立の事情や時代背景、作品の構造、表現方法やその領域などを分析し、何より、作品自体の言葉のもっている力を考察し、難解をもって知られる現代俳句の世界をはじめて一般読者の前に開いた類例のない画期的試み。下巻は、「人間探求派」「馬酔木」「天狼」「雲母」「石楠」各系譜の俳人と、戦後生まれの俳人、文人俳句の流れを収録。全句索引を付す。
目次
人間探求派の系譜
「馬酔木」の系譜
「天狼」の系譜
「雲母」の系譜
「石楠」の系譜
戦後生まれの俳人たち
文人俳句の流れ
著者等紹介
川名大[カワナハジメ]
1939年千葉県生まれ。俳文学者。早稲田大学第一文学部を経て、慶応義塾大学・東京大学両大学院修士課程にて近代俳句を専攻。三好行雄、高柳重信に学ぶ。近代俳句の軌跡を俳句表現史の視点から構築
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感想・レビュー
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yumiha
41
『中野のお父さんと五つの謎』に出てきた久保田万太郎は、文化勲章、芸術院会員、文学座や三越落語会の創設と華々しい活躍だが、家庭的に恵まれなかったそうだ。本書も、そんな家庭状況について補完してくれた。また、その状況を知って俳句を読み直してみると、句そのものを分厚く感じる。続くページが芥川龍之介だったので、これも『中野のお父さん…』の延長だなと思い、読み進む。理智の勝る俳句とこれまで思ってきた龍之介の情感を感じられた。また何度も句を推敲しておられた姿を知ることもできた。2024/05/19
かふ
18
俳句の個人個人より系譜ごとに紹介されているので俳句界の流れを知ることが出来る。だいたい虚子の「アララギ派」に対して反発や独立するように新興俳句系かポスト・アララギ派のようなグループ(俳句誌を中心とする結社)があるわけだが、中心はアララギ派のような気がする。次々に結社はできるけどアララギ派のように長く存続するところはないような。文人俳句では芥川龍之介の俳句がいい。寺山修司も文人枠なのは、俳句だけにとどまらなかったからか。学生俳句(青春俳句)という感じか?2023/08/12
moriteppei
0
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