内容説明
現実がますますハイテク化し、ヴァーチャル・リアリティが一気に自然化した今、旧来の文学の根底にあった「リアリズム」は既に崩壊した。文学的現実を極限まで追求したとき、その地平には文学の企みが忽然と浮上してくる。トマス・ピンチョン、筒井康隆、ルーディ・ラッカー、沼正三、スティーヴ・エリクソン、ユーリディシー…それまでの小説論に果敢な挑戦状をたたきつけた彼らの作品を手がかりに、ハイパーメディア時代の文学的可能性をさぐる。日本初の本格的メタフィクション論。
目次
序章 メタフィクションの覇権主義
第1章 V2・デッドヒート―トマス・ピンチョン『重力の虹』とポストモダン・リアリズム
第2章 “怪物(ベム)”たちのよみがえった夜―筒井康隆『虚航船団』以前・以後もしくは超虚構工学
第3章 ピムとアリスとスチームパンク―ルーディ・ラッカーの『空洞地球』あるいはトランスリアリスト・メタフィクション
第4章 畜権神授説―沼正三『家畜人ヤプー』と日本神話の脱構築戦略
第5章 マドンナはクリントンと寝ない―スティーヴ・エリクソン『Xのアーチ』とメタヒストリカル・ロマンス
終章 未だ語りえぬメタフィクションたち
著者等紹介
巽孝之[タツミタカユキ]
1955年東京生まれ。コーネル大学大学院修了(Ph.D.,1987)。慶応義塾大学文学部教授。米文学専攻。著書に『サイバーパンク・アメリカ』(勁草書房)で88年度日米友好基金アメリカ研究図書賞、『ニュー・アメリカニズム』(青土社)で95年度福沢賞、編著『日本SF論争史』(勁草書房)で第21回日本SF大賞を受賞。編訳書にラリイ・マキャフリイ『アヴァン・ポップ』(筑摩書房)、共著にTransactions,Transgressions,Transformations(Berghahn Press)など
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