ちくま学芸文庫<br> メタフィクションの思想

ちくま学芸文庫
メタフィクションの思想

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  • サイズ 文庫判/ページ数 261,/高さ 15cm
  • 商品コード 9784480086242
  • NDC分類 901.3
  • Cコード C0195

内容説明

現実がますますハイテク化し、ヴァーチャル・リアリティが一気に自然化した今、旧来の文学の根底にあった「リアリズム」は既に崩壊した。文学的現実を極限まで追求したとき、その地平には文学の企みが忽然と浮上してくる。トマス・ピンチョン、筒井康隆、ルーディ・ラッカー、沼正三、スティーヴ・エリクソン、ユーリディシー…それまでの小説論に果敢な挑戦状をたたきつけた彼らの作品を手がかりに、ハイパーメディア時代の文学的可能性をさぐる。日本初の本格的メタフィクション論。

目次

序章 メタフィクションの覇権主義
第1章 V2・デッドヒート―トマス・ピンチョン『重力の虹』とポストモダン・リアリズム
第2章 “怪物(ベム)”たちのよみがえった夜―筒井康隆『虚航船団』以前・以後もしくは超虚構工学
第3章 ピムとアリスとスチームパンク―ルーディ・ラッカーの『空洞地球』あるいはトランスリアリスト・メタフィクション
第4章 畜権神授説―沼正三『家畜人ヤプー』と日本神話の脱構築戦略
第5章 マドンナはクリントンと寝ない―スティーヴ・エリクソン『Xのアーチ』とメタヒストリカル・ロマンス
終章 未だ語りえぬメタフィクションたち

著者等紹介

巽孝之[タツミタカユキ]
1955年東京生まれ。コーネル大学大学院修了(Ph.D.,1987)。慶応義塾大学文学部教授。米文学専攻。著書に『サイバーパンク・アメリカ』(勁草書房)で88年度日米友好基金アメリカ研究図書賞、『ニュー・アメリカニズム』(青土社)で95年度福沢賞、編著『日本SF論争史』(勁草書房)で第21回日本SF大賞を受賞。編訳書にラリイ・マキャフリイ『アヴァン・ポップ』(筑摩書房)、共著にTransactions,Transgressions,Transformations(Berghahn Press)など
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

Ecriture

8
描く対象のフィクション性を暴くメタフィクションという古びた論調に別れを告げ、メタフィクションという様式自体が後期資本主義イデオロギーの一表象であるような「メタフィクションの謀略」を考察する。私たちがフィクションを書いたのか、フィクションによって私たちが書かれたのか。ポストモダニズムを通過した胡蝶の夢の様相を、ピンチョン・筒井康隆・沼正三・エリクソン・ラッカーらの現代作家たちを通じて明らかにする。これぞ!一流の仕事!2012/01/21

三柴ゆよし

5
すごく頭のいい人が書いた本。2019/04/10

えふのらん

3
 メタフィクション応用編。フィクションへの第三者的視点やそれを利用した虚構性の告発かと思いきや、第三者的態度を支える作家や読者の分析だった。  ゴールドスタインの影響下で書かれたウィストンのノートの虚構性、ピンチョンに湾岸戦争におけるV3とその枠外の立ち位置をとりながら枠内で読んでしまう読者、ペンを握る手を戯画化した筒井、アリスと共に地球の裏側へと落ちるポー、家畜人ヤプーや幼年期の終わり諸々に内在するマルクス批評的感性。メタフィクションの第四の壁を崩したようなユーモアあふれる傑作。2015/08/02

Lian

3
博識に満ちた名著。メタフィクションがどうして20世紀後半に流行し、現在これほどまでに蔓延しているかということを考える上で外せない一冊。2012/07/03

peeping hole

2
エリクソンが読みたくなった。巽孝之何読んでも、それ自体が小説みたいで面白い。高山宏の解説だけやたらと「世界のタツミ!最新の技法でハスミを置き去りに!」と言っていて意味不明。2021/03/01

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