ちくま学芸文庫<br> 言葉にのって―哲学的スナップショット

ちくま学芸文庫
言葉にのって―哲学的スナップショット

  • ただいまウェブストアではご注文を受け付けておりません。
  • サイズ 文庫判/ページ数 254p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784480086136
  • NDC分類 135.5
  • Cコード C0110

内容説明

現代フランスを代表する哲学者ジャック・デリダが、みずからの生涯を生き生きと辿り直し、フッサール、ハイデガー、レヴィナスなどに言及しつつ、現代の枢要なテーマについて縦横無尽に肉声で語る。政治における嘘をどのように考えたらよいのか。赦すことのできないものがあるときにしか赦しを考えることができないのはなぜか。他者に対する絶対的責任性とは、無条件的な歓待とはどのようなものか。正義は法律と切り離すことができないのか。デリダ思想の現在の到達点を示すとともに、デリダ自身によるデリダ哲学への最良の入門書。本邦初訳。

目次

肉声で
歓待について
現象学について
政治における虚言について
マルクス主義について―ダニエル・ベンサイードとの対話
正義と赦し

著者等紹介

林好雄[ハヤシヨシオ]
1952年生まれ。東京大学仏文科卒業。駿河台大学助教授
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ころこ

36
インタビューなので普通の言葉で書かれている。何について論じられているかが分かるだけでも他の本とは違う。レヴィナスへの言及が多い。97年に出版されているらしく、後半に『声と現象』『弔鐘』『歓待について』『死を与える』『マルクスの亡霊たち』くらいまで出てくるが、大した話題は出てこない。いま評伝や解説の本が多く出版されているので、そちらを読んだ方が得るものが多いだろう。2025/05/28

Ecriture

16
デリダへの入門書と言われる本書だけあって、分かり易いのは確か。それだけに薄味なのも確か。ただ、ここでしか言われていないこともあるので、デリダをかなり読んできた人が振り返ると入門書に留まらないものになる。例えば「歓待」については、『歓待について』よりも真に迫った話をしており、外から移民を受け入れてあげるなどという平穏な意味ではないことがわかる。「忘却」についても『火、ここになき灰』を変形させて、「赦し」との関係の中で論じられる。2012/06/06

かふ

14
デリダがフランスのラジオ番組に出演したときのインタビューの文字起こし。デリダがアルジェリア出身のユダヤ人だと初めて知った。そうしたことから精神(哲学)の伝承というのが「郵便的」ということなのだが、日本では誤配される言葉というような東浩紀の思想の脱構築というような感じだった。それは口承による伝達ではなく文字化した思想として、例えば経済的にマルクス主義が終わっても哲学のマルクスはまだ思考する余地がある。あと国際法でカントの思想とアメリカ大統領(クリントン元大統領の不倫事件)の偽証の話とか面白かった。2024/11/20

ラウリスタ~

14
デリダの対話、インタビュー集。デリダにしては、読みやすい。幼少期からの自伝的内容も含まれている。アルジェリアで第二次大戦中に育ったユダヤ人の少年としての生い立ちが少なからぬ影響を彼の生涯に与えているようだ。いろいろな著作に対しての言及がなされるので、それらの立ち位置を整理する事が出来る。しかし、デリダを読むってのは、どこまでが新しい内容なのか全然分からない。デリダを読むうちに、デリダ的に思考するってことを徐々に血肉化していくと、肯定的にとらえておく。2013/10/14

NICK

12
『ポジシオン』が初期デリダの理論的著作(といってもデリダにとっては理論的に見えるものも実は脱構築の「実践」であるのだが)を巡る対話篇だとしたらこちらは哲学のみならず法や倫理といった後期デリダの思想が中心の対話篇。『法の力』や『マルクスの亡霊たち』などでのデリダの企てが端的に明らかにされており、(後期)デリダを読むときに隣に置いておけば羅針盤となってくれるだろう。脱構築は極めて慎重な営為ではないか。アメリカでは文学理論として脱構築「理論」が流行したそうだが、その実、党派性に依らないような政治的実践であるのだ2014/06/30

外部のウェブサイトに移動します

よろしければ下記URLをクリックしてください。

https://bookmeter.com/books/397554
  • ご注意事項

最近チェックした商品