内容説明
ドゥルヨーダナは、ドローナを軍司令官にした。ドローナの指示により、特攻隊がアルジュナを攻撃して、戦列から引き離した。アルジュナがいないので、その息子のアビマニユが敵陣を破って勇敢に戦ったが、クル軍の勇士たちに取り囲まれ、ジャヤドラタに殺される。アルジュナは息子の復讐をしようと、敵陣深く攻め込み、シャヤドラタの首をはねた。クリシュナは、カルナがインドラから得た必殺の槍をアルジュナと戦う前に使わせてしまおうと企て、ガトーカチャに挑戦させる。「アシュヴァッターマンが殺された」との奇計により、息子の死を信じ、意気消沈したドローナはドリシタデュムナに殺される。
目次
第7巻 ドローナの巻(ドローナ・パルヴァン)(ドローナの軍司令官就任(第一章‐第十五章)
特攻隊の殺戮(第十六章‐第三十一章)
アビマニユの死(第三十二章‐第五十一章)
誓約(第五十二章‐第六十章)
ジャヤドラタの死(第六十一章‐第百二十一章)
ガトートカチャの死(第百二十二章‐第百五十四章)
ドローナの死(第百五十五章‐第百六十五章)
ナーラーヤナの武器の発射(第百六十六章‐第百七十三章))
著者等紹介
上村勝彦[カミムラカツヒコ]
1944年、東京浅草に生まれる。1967年、東京大学文学部卒業。1970年、同大学院人文科学研究科(印度哲学)修士課程修了。サンスクリット詩学専攻。東京大学東洋文化研究所教授。2003年、逝去
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感想・レビュー
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NAO
65
パーンドゥ方の戦士たちの活躍には、かなり偏りがある。アルジュナとビーマはもちろん大活躍するのだが、彼らの異母弟ナクラとサハデーヴァの描写が、とにかく少ないのだ。彼らの息子に関して言えば、アルジュナの息子アビマニユは大活躍ののち戦死するが、ほかの6人の息子の描写はあまりない。こういったところにも、きっと無意識的な階級差別があるのだろう。アビマニユを殺害したジャヤドラダを殺すにあたって、彼を殺す者に掛けられた呪いから身を守るためにアルジュナが取った行動はいかにも神話的驚異的なエピソードだが、嫌いじゃない。2017/12/25
みづはし
3
マハーバーラタのクライマックス、アビマニユの死、アルジュナの復讐、ガトートカチャの死。ドローナの死とそれによる怒り狂ったアシュヴァッターマンがナーラーヤナの武器を放つ所まで語られます。アビマニユはカルナやアシュヴァッターマンにさえも引けを取らなかったので、本当にアルジュナ並の強さかも。しかし、集団リンチで死にます(下手人はジャヤドラタ)。ガトートカチャが死んだ時にパーンダヴァの軍勢は悲しむのに、クリシュナだけ歓喜していたので、クリシュナの異様さというか、人間と違う感性を持っている場面が目立ちます。2014/12/22
荒野の狼
2
マハーバーラタの第7巻ドローナの巻を収録。他の巻同様、訳者の判断で、いくつかの節は省略されているので全訳ではない(例えば第80章はすべて省略)。この巻は681ページの殆どすべてが、ドローナの軍司令官就任から、その最後までの戦闘を描き、他の巻にみられるような本筋に関係のない挿話はない。アルジュナの息子アビマ二ユの悲愴な闘いや、ビーマの息子ガートカチャとカルナの闘いなど重要な戦闘はあるが、誰が誰と何本の弓を射たかとか、象や馬が何頭殺されたかなどの詳細な記載の繰り返しが多く、思想的に重要な話は少ない。2012/08/10