内容説明
明治30年、東京。日清・日露両戦争の狭間にあって、社会の大枠がようやく定まりかけたこの頃、東京の暮らしもまた大きな変遷を遂げていた。江戸の面影を残す街並み・習慣と、新しく定着しつつある洋風の事物があいまって、独特の風俗をかたちづくっていた当時の東京のありようを、体系立てて克明に描いた、貴重な記録。上巻は風土、市政、職業、人情、道徳、教育、宗教と迷信、年中行事、住居と諸道具、舟車など。松本洗耳の精緻な挿絵を全点収録。
目次
上の巻(風土及び市井の有様;社会の組織及びその情態;人情道徳及び教育;宗教及び迷信)
中の巻(年中行事;住居及び家什雑具)
著者等紹介
平出鏗二郎[ヒラデコウジロウ]
明治2(1869)~44(1911)年。名古屋生まれ。愛知県立医学校卒業、24年、帝国大学文科大学国文学科に撰科生として入学。27年、文部省図書課に入り、教科書の検定審査を担当するかたわら、文科大学史料編纂助員となる。33年編纂員および小学校修身教科書の起草委員となり、ついで文部編修官に転じた。晩年は脳神経を病み、4年間の病床生活の後、44年に没した。著書に「日本風俗史」「室町時代小説集」「敵討」「近古小説解題」等がある
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感想・レビュー
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シンドバッド
5
底本からすると大変読み易くなった。 できれば、難しい読みの漢字には、もう少しルビが欲しかった。しかし、内容には満足。ここまで記録した著者に敬意を表する。 未定稿に終わった著書にも興味が湧く。2014/02/25
iwasabi47
2
明治33年刊。冒頭近くに貧民街の話が出てくる。問題意識がある。2023/05/25
クリイロエビチャ
0
明治期の東京の市井や風俗、行事、物価などについて細かく記載された貴重な内容。「売れている鰻屋は、あえて土用の丑の日は休業する」など、江戸っ子気質についても描かれていて面白い。2010/07/19