内容説明
「本書の中で、超感覚的世界の若干の部分を叙述するつもりである。感覚的世界だけを通用させようとする人は、この叙述を空疎な想像の産物と見做すだろう。しかし感覚界を越えてゆく道を求める人なら、もうひとつの世界を洞察することによってのみ、人間生活の価値と意味が見出せる、という本書の観点をただちに理解してくれるだろう。」(本書より)「秘教」の思想を、明晰な思考に導かれた新しい総合文化へと再編し、個人の自己実現と社会の進歩へとつながる可能性を提示した、シュタイナー四大主著の一冊。
目次
人間の本質(人間の体の本性;人間の魂の本性;人間の霊の本性 ほか)
霊の再生と運命
三つの世界(魂の世界;魂の世界における死後の魂;霊界 ほか)
認識の小道
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Gotoran
34
シュタイナー四主著の1つ、霊的認識学の入門書。根本的な霊的認識に至る道の原則論を繰返し説く。人間が如何なる要素で出来ているか、霊・魂・体の世界の分析と相互関係の解説、人間のオーラ即ち人間の構成要素の本質と付随的側面が示す類色彩的特徴の説明、超感覚的認識を獲得するための内面生活の教導。正しい求道と真理探究の道へ導く霊智の巨人、シュタイナー。繰返し腑に落ちるまで意識して読む込んで、超感覚的知覚能力の獲得の「心構え」を身に付けたいものだ。2014/04/17
磁石
18
人智学の書を読むという行為は、単なる読書ではなく内的震撼と緊張と開放感とを伴った体験であるべき。特定の量の情報を提供するのではなく、霊的生命を喚起するためにある。快と苦の中で生きるのではなく、通して生きる。そうすることで快と苦は魂の目となってくれる。どんな単純な思考内容にも直観=霊界の顕現を含んでいる、自我によってソレを正しく受け取らなければならない。事物や出来事が自分に語りかけてくるようにしなければならない。……霊眼の獲得はもはや、自動車免許と同じぐらい/それ以上に不可欠なスキルか。2017/02/22
アミアンの和約
15
よく言えば難解、悪く言えばオカルト的な本書だが、霊や魂をここまで真正面に扱った本は見たことがない。いわく、霊や魂を感じ取れないのは「思考の仕方が悪い」という。「思考を規則立てることで、高次の諸領域(すなわち魂)を感じ取れる」という。確かに自分自身を振り返っても普段ぼんやりとあれこれと思考を巡らす「ダラダラ思考」が多いので直していきたい。2025/03/19
ショウジ
15
シュタイナーの四大著書の一冊です。とても難しかった。体、魂、霊の3つの世界観、字面としてはよくわかるのですが今一歩理解が進みません。再読します。2022/10/12
S.Mori
14
ルドルフ・シュタイナーの代表的な著作の一つで、私の愛読書です。今のような危機的な時に読むと勇気づけられるので再読しました。巻末に収められている本書に関連したエッセイの中でシュタイナーは、19世紀の哲学と宗教を救いようがないと厳しく批判しています。これは厳しすぎる意見ですが、概ね的を得ています。これ以降の哲学や宗教も慰めや励ましにはなっても、この世界を良い方向に変える力になりませんでした。それは2つの大戦を許してしまったことや、今の社会の悲惨な状況を見ればよく分かります。→2020/03/26