内容説明
“人間とは何か?普遍的人間性はあるのか?文化とは?”西欧近代が繰り返し立ち戻っていったこの根源的な問い掛けに答えるべく創唱されたレヴィ=ストロースの「構造」人類学。西欧中心の近代的思考体系への徹底した反省を促す彼の難解な思想を、革新的な発想と卓抜した論理力を併せもつ異色の人類学者・リーチが、驚くほどの明快さ、手際の良さで鮮やかに読み解く。挑発的なレヴィ=ストロース入門。
目次
第1章 レヴィ=ストロースの人と業績
第2章 牡蠣、燻製した鮭、スティルトン・チーズ
第3章 人間という動物とそのシンボル
第4章 神話の構造
第5章 言葉と物
第6章 親族の基本構造
第7章 「時間を抑制する機械」
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
翔亀
42
同世代の文化人類学者による解説本。難解なレヴィ=ストロースの著作の後に読むと、その明快さに驚く。同分野の専門家らしく学説史的な位置づけをきっちりと押さえるとともに、共感しつつも批判すべきところは自らの立場を明確にした上で批判するので分かり易いのだ。レヴィ=ストロースの根本は、人間の中の人間性は、自然と離れた西欧の文化が独占しているのではなく、人類に普遍的なものだとそれを追求したところにある(従って西洋文化批判となる)。それを詩的体験とか自然と融合した文化だとするリーチの要約はしかし分かり易す過ぎる感も。2015/12/19
34
21
著者自身、英国における社会人類学の大家でもあるので、レヴィ=ストロースの理論には一家言あるという、批判の刃を隠そうとはしていない入門書。結局、むずかしい理論というのは原典にあたらなきゃどうせわからないんだから、すべての入門書がこういうスタンスで書かれたらいいのに。2017/10/02
roughfractus02
7
社会人類学者の著者がレヴィ=ストロースの構造人類学を主にロジック面から明快に概説し批判する本書は、同じ構造人類学者である両者の姿勢の違いの方が際立つ構成になっている。著者はレヴィ=ストロースの業績を1「原始的分類論」、2「神話論」、3「親族組織論」に分類し、1では色や母音や料理に対する未開人の思考を三角形構造として概説し、2ではレヴィ=ストロース風に神話分析を試みる。が、3では交叉イトコ婚の婚姻体系で外婚制とインセスト・タブーをセットと捉える基本構造説に、タブーを単独テーマとして捉える著者の批判が際立つ。2024/03/27
しょ~や
0
難しいが、批判的な視点が含まれているところが面白かった。2016/10/22