ちくま学芸文庫
聖なるものの社会学

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  • サイズ 文庫判/ページ数 275p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784480085504
  • NDC分類 304
  • Cコード C0136

内容説明

近・現代を貫く世俗化の極致に、人びとは新しい“聖”を生み出した。ではそれらは、どのようなすがたで私たちの前に立ちあらわれるのか。“死の聖”を否定し、官寮機構的な他界のイメージをふりまくアメリカ映画。ラテン・アメリカ社会において賭博が体現する価値。新しい「政党国家」が生み出したカリスマ的指導者・ヒトラー。「総力戦」という新次元を迎えて、最高度の幻惑と麻痺と迷妄と、そして法悦と畏怖との交互作用で現代を支配する戦争。死・僥倖・権力・戦争のそれぞれから、“聖”の世界の存在と領域をあきらかにする。

目次

1 死の表象―アメリカ映画における(官庁的な他界;“死の聖”の否定 ほか)
2 金のつかい方―ラテン・アメリカにおける日常経済と賭博(貯蓄と浪費;“動物の賭” ほか)
3 カリスマ的権力―偶像としてのアドルフ・ヒトラー(権力の性質と諸形態;“霊威的指導者”ヒトラー ほか)
4 戦争のめまい(近代戦の誕生;戦争の予言者たち ほか)

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ラウリスタ~

10
20世紀なかごろに書かれたフランスの思想系の本を読むと、カイヨワの名前が至るところで出てくる。しかし、日本ではカイヨワがほとんど知られていない。どんだけ難しいこと書いてるんだろうと思ったら、なんのことはないバタイユやモースがやってるようなこと。それがもっとジャーナリスティックで非アカデミックになっているかな。本書も、死、金・賭博、ヒトラー、戦争の四つにおける「聖」を書いているんだけど、とりわけなにが特別なのかよく分からない。かなり読みやすい。2013/09/07

壱萬参仟縁

7
学部時代の保健体育で『遊びと人間』を取り上げた講義を思い出した。その講師は一日四食に分けて食べると言っていた。経帷子(きょうかたびら 030ページ)とは、死衣(リーダーズ英和辞典)だが、幽霊が出てくる。「貯蓄経済では、処置できるあらゆる余剰は、すぐ投資されて、一国の経済的収益を増すためにつかわれる。賭博経済では、すべての利得はこれを手にすると、そのまま投機へと向けられる」(067ページ)。生産力に転化できないのが賭博の短所だという。悪循環にならぬ経済が理想だが。074ページにラスキン(167ページ~も)。2013/02/19

nobby

4
一つの文明は「聖」の要素を必然的に含む。それがいかに世俗的な仮面をかぶっていようと。このことは映画や金の使い方においてその一面を顕わにする。しかし、「聖」が最も顕著に、そして不合理で、壮絶な姿として姿を現す場が戦争である。カイヨワは、近代の総力戦の諸相を祝祭の集合性と比較しながら、その間の異相と共通項をえぐり出している。2011/08/12

Mealla0v0

3
原題の通り、4つのエッセーが収められている。いずれも「聖なるもの」がテーマなのだが、なかでも戦争と聖なるものの関係は興味深かった。戦争に熱狂するということ。その祝祭的なもの。……ただ、やはりエッセーであるために、あまり融通が利かなさそうなのが難点。面白いけれど。2017/12/02

肉欲棒太郎

2
今日的な《聖》としての戦争についての考察「IV 戦争のめまい」が良い。『総力戦』のルデンドルフ、『戦争の公理』のルネ・カントン、『内的経験としての戦争』のエルンスト・ユンガーなど、過激な戦争肯定論者たちの言説に唸る。ただ、カイヨワ自身の主張がどの辺りにあるのかはいまいち判然としない。2016/07/04

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