ちくま学芸文庫
現代名文案内―文章ギャラリー40作品

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  • サイズ 文庫判/ページ数 263p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784480085498
  • NDC分類 910.26
  • Cコード C0181

内容説明

文は人なりと言う。思考も空想も、表現にはいつも書き手の物の見方がにじみ出る。言葉の用いかたに、表現の対象の選びかたに、それぞれの人柄が映じる。戦後の文学作品からすぐれた文章を取り上げ、その魅力を論じ、作家の表現の想像力にせまってみよう。志賀直哉・谷崎潤一郎ら伝統の香り立つ文章から、村上春樹・柳美里ら若い感受性の息づく文章、寺田寅彦・沢村貞子ら生きる知恵が光る作品まで…、自在に渉猟し、選び抜かれたこの一文で日本語の美しさを読み、味わい、考える。

目次

1 ものの存在を問う(吉行淳之介―市街電車は石膏色の昆虫だった・『鳥獣虫魚』;阿川弘之―海は、眠った町を守りするように・『夜の波音』 ほか)
2 人生の陰翳を映す(藤沢周平―胸の中にほんの少し不逞な気分が・『おぼろ月』;松本清張―ああ、今、でんびんやさんが帰る・『或る「小倉日記」伝』 ほか)
3 心のひだを照らす(大岡昇平―私が殺人者となったのは偶然である・『野火』;福永武彦―忘れられた夢のように白い雪片が舞い・『風花』 ほか)
4 伝統がかおりたつ(志賀直哉―他の蜂が皆巣へ入って仕舞った日暮・『城の崎にて』;谷崎潤一郎―夕空にひろがっている紅の雲を仰ぎ見ると・『細雪』 ほか)
5 才気がほとばしる(横光利一―此の花は馬車に乗って、春を撒き撒き・『春は馬車に乗って』;川端康成―日本の山河を魂として君の後を生きてゆく・『横光利一』(弔辞) そうして、ふと信吾に山の音が聞えた・『山の音』 ほか)
6 生きる知恵が光る(寺田寅彦―頭が悪いおかげで大胆な実験を・『科学者とあたま』;中谷宇吉郎―春さえ立つのだから卵ぐらい立っても・『立春の卵』 ほか)

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

kuukazoo

6
子供の頃から国語の教科書よりも副教材の国語便覧とか文章読本の方が好きだったことを思い出した。こういう文学作品のいいとこ取りというかつまみ食いみたいな本を悪く言う人もいるけど、こういう本がきっかけとなって、言葉の森に足を踏み入れたりすることもあるのだから、ね。文章を書くことは構成なのだなあと改めて考える。単語1つにしてもなぜこれを選びとったのか、考えなくても読めるけど、考えてみるとより面白いということもあるのだ。2016/07/14

りょ

1
★★★★文章の分析を読むことでかえって良さが半減してしまうのはよくある話。この本にはそれがない。文の味わいを綺麗に浮き彫りにしてくれる。また、良い書評には作品に対するある種の熱があることが多いと思うんですけど、この本ではその熱量を強調しすぎず(もちろん作品への愛は十分すぎるほど伝わってきますが)あくまで文の観察に重心を置いている。引用と分析の比率も作品ごとによく考えられていて見事です。凄い。2015/06/26

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