内容説明
ヨーロッパのキリスト教徒や知識人たちにもっとも広く読まれてきた『ユダヤ古代誌』。天地創造から説き起こし、紀元後66年のユダヤ戦争直前までの記述で終わる全20巻は、ヨセフスが敗軍の指揮官のひとりとしてローマに降ったのち、皇帝の厚遇のもとに書かれた。政治的には親ローマ派であり、思想的にはユダヤ教、ユダヤ文化の弁護者であったヨセフスの大著は、ユダヤ史を知るうえできわめて貴重な史料であるばかりでなく、イエスと同時代の散逸した記述を数多く含む文献として、キリスト教徒たちの関心をひきつけてきた。原著18~20巻までを収める文庫版第6巻は、ヨセフスのキリスト証言を挾み、ユダヤがローマの属州となり、破滅への道を辿る。
目次
ユダヤ、ローマの属州となる(後六年‐)
ヨセフスのいわゆる「キリスト証言」
アグリッパス一世の統治(三七年‐)
ガイオス・カリグラ帝の暗殺
クラウディオス、皇帝に即位
アグリッパス一世の支配(四一‐四四年)
ローマ総督支配下のユダヤ
アディアベネ王家の改宗物語
大祭司制
ローマ総督支配下のユダヤ―破滅への道