内容説明
およそ人間の営みの崇高と愚劣、栄光と悲惨のすべてが書かれている、と評され、若き日のチャーチルも繰り返し耽読したといわれる不朽の大著「ローマ帝国衰亡史」。完成から200年以上を経てなお輝きを失わぬこの伝説の書を生みだした歴史家が、「衰亡史」着想から完成までの経緯に、18世紀イギリスの一カントリー・ジェントルマンとしての生活と意見を織り込んで、自らの生涯を記す。巻末に、ギボンの生涯の“詩と真実”をめぐる訳者解題を収録。
目次
第1章 家系
第2章 少年期、ウェストミンスタ校―1737‐52年
第3章 オクスフォード―1752‐53年
第4章 ローザンヌ―1753‐58年
第5章 「文学研究論」、国民軍参加―1758‐62年
第6章 大陸周遊、ベリトンとロンドン、父親の死―1763‐70年
第7章 ロンドン生活、議会、「ローマ帝国衰亡史」―1770‐83年
第8章 ローザンヌ―1783‐93年
感想・レビュー
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バルジ
1
名著『ローマ帝国衰亡史』の著者であるエドワード・ギボンによる自伝。正確には彼の死後友人によって編纂された相当の「改竄」が含まれた自伝であるが、彼の来歴と主著『ローマ帝国衰亡史』執筆のいきさつが記されている。正直同時代のイギリスを予め知っておかないと相当苦しい部分が多く中々読むのに骨が折れる。しかし彼のローマ旅行の一コマは事実かどうかは別としても名著誕生の瞬間を端的に記す。またいわば「罰」として課せられたローザンヌでの生活がギボンの知的営為に大いに影響を与えた点は人生何がプラスに働くかわからない事を教える。2021/01/23