内容説明
取っ手や橋・扉など、見慣れた風景の細部からモデルネの本質を読み解き、貨幣、大都市、女性、モードにいたるまで、現代社会のあらゆる事象に哲学的思索を向けた「エッセーの思想家」ジンメル―その20世紀的思考を生き生きと伝える、新編・新訳のアンソロジー。
目次
愛の哲学断章
女性心理学の試み
現在と将来における売春についての覚え書き
女性と旅行
いかなる意味でも文学者ではなく
取っ手
橋と扉
ヴェネツィア
額縁―ひとつの美学的試み
肖像画の美学〔ほか〕
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
加納恭史
13
「社会学史」はなかなか奥深い書物、社会学を諸説を元に歴史的に語る。メインはジンメル、マックス・ウェーバー、ルーマンと言ったところか。ジンメルだけは具体的で繊細なエセーを語る。そこでこの本を読む。エセーながら社会学の考え方に慣れそうである。有名な「橋と扉」から検討開始する。「川の両岸がたんに離れているだけでなく、《分離されている》と感じるのは私たちに特有なことだ。いまや精神がその分離の上に和解と統一の手をさしのべる。橋が一つの審美的な価値を帯びるのは、実用目的の結合と分離を直接視覚化しているから」。見事な❗2025/09/07
Ex libris 毒餃子
12
芸術論が知りたくて読みました。女性論や貨幣論も面白かった。2022/01/06
内緒です
11
1900年代の初めに書かれた作品なのに面白く、的を射た作品。勉強になりました。2015/11/29
うえ
10
「ランプレヒトがその『ドイツ史』のなかで語っているところによれば、中世のある種の騎士団は、時とともにその実用的=実務的な目的を失っていったが、その後も娯楽を目的とするたんなる社交上の団体としては存続したという。ここで指摘されているのは、さまざまな分野で同じように生じた社会学的発展のひとつの類型だ…社交上の娯楽は、少なくとも副産物として、あらゆる団体形成にたえずつきまとっている。それは、様々な利益集団の接点としての役割を果たしており…団体が実質的な存在理由や魅力を失ったあとでも、人を束ねる力として生き残る」2019/06/05
うえ
8
「社会主義者は、社会主義によって、私たちに与えられる快楽と苦悩の平均値が変化することはないと確信している…平等の理想に比べれば…文化財はもとより、幸福自体の総量も瑣末な問題となる…社会主義は、人間には幸福と倫理性を求める本性がそなわっている、という前提に立たざるをえない…この二つのものから離反するのはひとえに歴史的情況の錯綜と不合理によるものだ、ということになる…社会主義は倫理的オプティミズムを必要としている…目標点についても、社会主義はあらゆる革命主義や千年至福説と同様、オプティミスティックだ」2016/03/14
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