内容説明
文化や伝統、社会制度はもちろん、言語、意識、そして心…あらゆるヒトの営みは脳に由来する。「情報」を縁とし、おびただしい「人工物」に囲まれた現代人は、いわば脳の中に住む―脳の法則性という観点からヒトの活動を捉え直し、現代社会を「脳化社会」と喝破。さらに、脳化とともに抑圧されてきた身体、禁忌としての「脳の身体性」に説き及ぶ。発表されるや各界に波紋を投げ、一連の脳ブームの端緒を拓いたスリリングな論考。
目次
唯脳論とはなにか
心身論と唯脳論
「もの」としての脳
計算機という脳の進化
位置を知る
脳は脳のことしか知らない
デカルト・意識・睡眠
意識の役割
言語の発生
言語の周辺
時間
運動と目的論
脳と身体
著者等紹介
養老孟司[ヨウロウタケシ]
1937年、神奈川県鎌倉市に生まれる。1962年、東京大学医学部卒業。卒業後解剖学教室に入り、その後東京大学医学部教授。1995年、退官。東京大学名誉教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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あちゃくん
30
養老さんの社会を腑分けする解剖ナイフの鋭さを感じる。2023/02/17
デビっちん
27
ヒトの活動について、脳と呼ばれる器官の法則性という観点から、全般的に眺めようとする視点を唯脳論としたようです。この本がベースとなって、色々な切り口別な本が生み出されたのですね。脳は座標ではなく抹消部分の位置関係を持ち込んでいること、脳が脳を知ること、構造と機能の関係、視覚と聴覚をつなぐのが脳、なんかが読んでいて興奮させられる内容でした。2018/04/14
あっきー
19
⭐2 理系の説明文に小難しい言い回しが必要なのか、自分が苦手なタイプの文章で目が流れてしまい理解度も半ばだった、期待して読み始めたのでチト残念だ2021/11/25
aiken
12
1998年の本。難しい。正直よく理解できなかった。自分の知識のなさと読解力のなさを痛感した。わかったことは①構造と機能を混同しないこと②心や意識は機能であること③その機能を産出すものは脳であること④脳は神経系なので、頭蓋骨に入っている脳みそだけではなく抹消神経も含めて考えなければいけないこと⑤そうやって考えると物理学も哲学もおもしろいかもしれないくらいだった。どうも表現というか文章に馴染めなかった。もうちょっと勉強してから当時の考え方を学び直したい。2022/03/05
のんぴ
12
ハードカバーにて。脳は合理的な最適解を求めて、便利で快適な都市生活を作り出したけど、死後の身体という不合理だけはいかんともしがたく、これだけが唯一自然として残されるものである。2018/08/14