内容説明
今にいたるまで、芭蕉がわれわれの心を抗いがたい力で惹きつけてやまないのはなぜか。「芭蕉の作品は…ぎりぎりのところに、常に深い静かさを湛えている。…そこから流れ出すものの始まりの静かさ…過去のすぐれた人々の心の歴史が、その中に流れそそぎ、そこで大きく湛えられ、そして、それがまた次に生れてくる人々の心の歴史に流れこんでゆく」。芭蕉はなぜ、そのような句を発想するにいたったのか。その、発想を促したものを探求し、全句を評釈した、俳人加藤楸邨のライフワーク、芭蕉研究の名著。上巻は、最初期から貞享四年までを収録。
目次
寛文年代
延宝年代
天和年代
貞享年代
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
くり坊
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ちくま学芸文庫、全3冊の内、上巻にあたる。著者は俳人で国文学者。巻末にある「芭蕉の生涯とその発想」を読むために手に取りました。「芭蕉の世界は、流動漂泊の上に探究されたものであり、動を湛えたあの廻転する独楽のような静かさなのだということができよう。しかも、一見何も言えないように見える小さな詩型の中に、一旦凝縮し、集中し、自己の生の形を消し去ることによって、そこから新たに無形の自由を求めてひろがる詩の方法の探究者であり、また開拓者であった。(473頁)」と、著者は記している。2020/07/01
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