ちくま学芸文庫<br> こどもたちに語るポストモダン

ちくま学芸文庫
こどもたちに語るポストモダン

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  • サイズ 文庫判/ページ数 204p/高さ 16cm
  • 商品コード 9784480084293
  • NDC分類 104
  • Cコード C0110

内容説明

平静より騒擾を、問題解決ではなく問題提起を、普遍的な物語を生きるのではなくさまざまな問いを提出し、批判的思考空間にむかって浮上すること。『ポストモダンの条件』で知られる抗争の哲学者リオタールが、手探りで築き上げたその思想を、次世代のこどもたちであるわれわれに率直に語って聞かせる10の通信。「世界史〔普遍的物語〕についての手紙」「正当性についてのメモランダム」「抵抗についての注釈」「哲学の流れを主題とする意見書」など、アドルノやベンヤミンらに学び、幾度もゼロ地点に立ち戻ることから切り開かれる批評的アヴァンギャルド再生のためのポストモダン入門書。

目次

1 「ポストモダンとは何か?」という問いに対する答え
2 物語の欄外に記された言葉
3 世界史〔普遍的物語〕についての手紙
4 正当性についてのメモランダム
5 さまざまな理性=理由の混乱についての速達
6 テロルならびに崇高への追伸
7 「ポスト」のさまざまな意味についてのノート
8 新しい舞台装置のための短信
9 抵抗についての注釈
10 哲学の流れを主題とする意見書

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

壱萬参仟縁

23
1986年初出。ポストモダンとは、モダンの内部において、提示(プレザンタシオン)そのものの中から提示しえないものをひきだすような何か(034頁)。「ローカルな正統性への退却は、特定の諸文化における、帝国主義とその危機がおよぼす破壊的な諸効果に対する、抵抗反応(066頁)。「民衆という名は、偶発的共同体の特異性と、普遍的主権の化身とを、同時に包含している」(091頁)。民衆の姿、リアリティをどう捉えるか、興味深い。市民社会は資本にとって特異なこれやあれの破壊(消費)の不可欠の要因(100頁)。これも面白い。2014/03/01

白義

18
ポストモダン、という思想のエッセンスを巧みに語った希な入門書。全ての全体性、それによる個々のちいさなものの総合に抗い、ちいさなものの救済を試みること。解放にせよ、復古にせよ、全ての理念による社会の変革、進歩は不可能だと強く認識し、ちいさな実践、抗争を行うこと、これがリオタールの言うポストモダンの本質だ。その背景には、アウシュヴィッツやナチズム、スターリニズムといった現代が産み出した野蛮へのショック、内省にある。本書が提示するものは新たな全体性、スローガンではなく、むしろ思考空間自体の創造と言える2012/05/04

A.T

15
フランス革命後の1800年代から1980年代までの啓蒙主義からポストモダンまでの哲学思考を思いつくまま述べられています。著作年が同じのジョージ・オーウェルの小説のタイトルにひっかけて?なのか偶然なのかは不明ですが「1984」についてのエッセイ(9章)で、新言語が広がるにつれ文化は衰退する事態をポストモダンにおけるデジタル、商取引の戦略的思考が感情の忘却に当てはめてみせるなど、興奮する展開に出会えました。そしてポストモダン後の時代を予見する8章新しい舞台装置が整いつつあるー、で最高潮に。2018/03/22

うりぼう

14
「こどもたちに語る」に惹かれて、ポストモダンが分かるのかと思ったら、読み始めて、「子でも解る」とは、書いてないことに気づく。書簡なので、判る人には、ずいぶんこなれた感があるのだろうけれど、如何せん近代哲学の基礎がなさすぎの私に歯ごたえがありすぎ。大きな物語は終焉を迎えたので、個々の多様性の中に問い続けるしかない。物事を単純化しては、語れない。共和制は市民的人間性に通じ、人類全体の解放を約束して、人間の欲望を正当化し、発展をめざしたが、現実は格差を拡大するだけの誤認であった。今回の震災と原発の関係に通じる。2011/12/14

swshght

12
タイトルに「こどもたちに語る」とあるから、フランスのポストモダン思想を明快に解きほぐした解説書だと思っていた。しかし、実際はそのページ数の少なさに反し、入門書としてはかなり難解と言える。リオタールは「ポストモダン」という言説を打ち出し、文字通り「近代以後」の思想体系または資本主義システムを理論的に考察した人物だ。そんな彼の哲学がいかなるものであるかを知ることは容易な作業ではない。「ポストモダン」「モダン」「大きな物語」「解放」「理念」を最重要キーワードとして読むことが、今の私にとっては有効かと思われる。2012/09/24

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