ちくま学芸文庫<br> 芸術の哲学

ちくま学芸文庫
芸術の哲学

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  • サイズ 文庫判/ページ数 457,/高さ 16cm
  • 商品コード 9784480084262
  • NDC分類 701.1
  • Cコード C0110

内容説明

文学作品や音楽・絵画は、なぜ私たちを魅了してやまないのだろうか?美の成立根拠を人間的主観の心の在り方のうちに求める、これまでの「近代主観主義的美学」では、芸術を十全に理解することはできない。生と世界内存在の真実が開示される場こそが芸術作品であり、その輝き(シャイネン)と現出(エルシャイネン)の結果が美(シェーン)となるのではないのか。アリストテレスの『詩学』から始めて、ニーチェ、ハイデッガー、ガダマーへと至る「存在論的美学」の太い系譜を辿り、また翻って、美を希求する人間の動機を探るべくフロイト、ユングを検討し、カント、ショーペンハウアーの芸術論、人間論、情念論を存在論をもって再評価する。

目次

技術における虚構と真実
アリストテレスの『詩学』
ミメーシス、カタルシス、ハマルティア
ニーチェの『悲劇の誕生』
ディオニュソス的なものとソクラテス主義
ハイデッガーの芸術論
ガダマーの芸術論
フロイトの詩人論
ユングの詩人論
ショーペンハウアーの世界観
芸術の慰めと苦悩の現実
カントの『判断力批判』

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

9
心の諸力から芸術を捉える「近代主義主観美学」に対し、「存在論的美学」の立場から「芸術の哲学」を展開した本。この立場によれば、芸術は、具体的かつ構成的に存在の本質呈示を行うものと定義される(ハイデガーによる「存在者の真理・真実・真相の作品化」、という芸術の定義と同じく)。 アリストテレスからニーチェ、ハイデガーを経由してガダマーに至る本書の前半はこの定義が各章を貫く一本の線となっているため、章ごとの繋がりが非常にスムーズでかなり読みやすい。2022/01/16

Ex libris 毒餃子

7
教科書的な本でした。2022/01/14

またの名

5
芸術を哲学してるというよりは芸術を軸にまとめられたドイツ哲学史。アリストテレス詩学の伝統を解きほぐす序盤はスコラ的で退屈だけど、ニーチェの章から俄然筆が乗って、ディオニュソス的深層=ハイデガーの存在・大地=ガダマーの真理=集合的無意識=ショーペンハウアーの意志=超感性的なヌーメノン(ただしフロイトの個体的なリビドーは除く)という等式を一気に成立させる。均斉的で道徳的なカント美学さえニーチェやハイデガーと繋げてしまうのは圧巻なのに、フロイトだけはここに組み込めずにdisに走った模様。脱魔術化の思想だからか。2014/06/10

なーちゃま

4
「芸術と文明」の授業の参考書。芸術とは何かを考えることが目的で、最初に著者の考え「芸術は現象であり、体験であり、芸術作品を見て、物事の真実を垣間見ること」が示される。その後その見方を支持するために、ギリシア悲劇から芸術を考え芸術の価値を論じたアリストテレス、それと対照的に否定したプラトン、さらに「存在」の話でハイデガー、フロイトとユング、ショーペンハウエル(まじで理解できなかった)、カント(もっとよく分からん)の芸術論を照覧していく。面白くて夢中で読んだけれどカントは難しすぎて分からない悔しい~2019/12/05

tieckP(ティークP)

4
ハイデガーの存在論(およびガダマーの注釈)に基づいた美学の解説書として優れている。とりわけ前半(ガダマーまで)は論旨が一貫していて、アリストテレス『詩学』の「歴史より真」や、ニーチェの「デュオニソス的なもの」をハイデガー視点で読み替えながら議論を深めていく流れは秀逸。フロイト・ユングの章はやや牽強付会が目立ち、ショーペンハウアーとカントの章は学ばされるけれど、本の論述の着地には失敗した感がある。とはいえハイデガーの美学(の渡邊流解釈)に触れるための、とみに優れた、ぶれのない解説書として薦められる。2012/09/16

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