内容説明
フランス革命後の社会は、旧体制(アンシャン・レジーム)の社会から截然と区別される―通説と化してしまったこの命題を否定するところから、トクヴィルは出発する。中央集権のもとでの行政の専制化、画一的支配の浸透、パリ一極集中、こうした要素は革命がもたらしたものではなく、すでに旧体制のなかに用意されていたものだった。近代デモクラシーは必然的に平等化への道を進んだが、公的なものとの関わりを保障する「政治的自由」は、旧体制時代にもはや息の根を止められてしまっていた。近代は「画一化」と「自由の窒息」を引き受けなければならないのか?現代社会に対する透徹した予見と病理学的診断を含んだ政治思想史の金字塔。
目次
1 一七八九年以前と以後におけるフランスの社会・政治状態
2 旧体制と大革命(革命の勃発に関する種々の対立した見解;通説では、革命の根本的・究極的目的は宗教的権力を打破し、政治的権力を弱体化することだったとされているが、実際はそうではなかった、その理由は何か;フランス革命は政治革命でありながら、どのようにして宗教革命と同じ過程をたどったのか、その原因は何か;ヨーロッパのほとんどすべての国々は、どうしてまさに同一の諸制度をもっていたのか、そして、これらの諸制度はどうしていたるところで崩壊してしまったのか;フランス革命の本来の成果は何だったのか;フランスでは、封建的賦課租がなぜ他のいかなる国よりも民衆に忌み嫌われたのか;通説とは反対に、行政的中央集権は旧体制の一制度であって、フランス革命と第一帝政の産物ではない、その理由は何か;今日、行政の後見的監督と呼ばれるものは、どうして旧体制の制度と言えるのか;行政裁判と役人の身分保障はどうして旧体制の制度と言えるのか;中央集権はどうして、このように旧権力のなかに侵入し、それを破壊することなく、とって代わることができたのか ほか)
著者等紹介
トクヴィル,アレクシス・ド[トクヴィル,アレクシスド][Tocqueville,Alexis de]
1805‐59年。フランスの政治社会思想家、政治家、歴史家。ノルマンディーの旧貴族の出身。1827年、ヴェルサイユ裁判所の陪席判事となる。1831年、アメリカを旅行、それが『アメリカにおけるデモクラシー』(1835、40年)として結実する。1839年、下院議員に当選、1849年には外務大臣を勤める
小山勉[オヤマツトム]
1936年生まれ。早稲田大学政経学部卒業、東京都立大学大学院博士課程中退。福岡大学法学部教授、九州大学名誉教授。専攻、西洋政治思想史、比較政治(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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