内容説明
「春眠暁を覚えず、と諺にいう。生活がさして苦しくない時には、生きるということもまた楽しいことである。例えば、まるまる三時間を美術作品の観賞に当てうるとすれば、それは眠りにも優る営みであり、生に優る喜びである」。本書は、スペインの偉大なる知性ドールスがこよなく愛したプラドを舞台にして展開する傑作絵画論。名だたる芸術作品を、「支えあうフォルム」である古典主義と「飛翔するフォルム」であるバロックを両端とする体系に鮮やかに位置づけ明快に論じる。実践的な絵画の見方「展覧会に訪れる人々への忠告」を併せて収録した楽しく有意義な美の案内書。
目次
プラド美術館の三時間(プラドへの道すがら;フランスとイタリアの古典的な作家たち;エル・グレコとゴヤ;ベラスケス;プリミティヴの画家たち;スルバラン、ムリーリョ、リベラ;ゲルマンの人、デューラー;ヴェネチア派;ルーベンスとその弟子たち;終章)
展覧会を訪れる人々への忠告(告白)
著者等紹介
ドールス,エウヘーニオ[ドールス,エウヘーニオ][D’ors,Eugenio]
1882‐1954年。20世紀スペインの美術評論家、哲学者。カタルーニャ文化の興隆のため活躍するが、政治的見解の相違により1923年にマドリードに移る。主著である『バロック論』(1935年)ではバロック様式の復権に大きく貢献した
神吉敬三[カンキケイゾウ]
1932‐96年。上智大学卒業後、国立マドリード大学でスペイン美術を修める。70年、スペインの文化勲章・賢王アルフォンソ十世章受章。上智大学名誉教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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