ちくま学芸文庫<br> 神軍 緑軍 赤軍―イスラーム・ナショナリズム・社会主義

ちくま学芸文庫
神軍 緑軍 赤軍―イスラーム・ナショナリズム・社会主義

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  • サイズ 文庫判/ページ数 503p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784480083067
  • NDC分類 238.07
  • Cコード C0122

内容説明

黒海とカスピ海に挾まれたカフカース、シルクロードの舞台・中央アジアのイスラーム世界は、かつてロシア帝国の領土だった。1917年の革命後ソビエト連邦に組みこまれたが、そこにはイスラームに帰依しながら独自のナショナリズムを保持する多くの民族が暮らしていた。ムスリムとしてのアイデンティティのもとで民族自決を目指したかれらは、ボリシェヴィズムといかに関わりあっていったのか。接近と離反、希望と挫折―複雑に絡み合う『イスラーム・ナショナリズム・社会主義』のトリアーデを、周縁民族の視角から記述する。ソ連崩壊をうけてにわかに紛争の火種となった地域の「問題の本質」を、ソ連解体と冷戦終結以前に提起した先駆的論考。

目次

序 ロシアとイスラーム世界
第1部 「オリエント」のなかのロシア革命(イスラーム世界から見たロシア革命70年;ロシア革命と中東)
第2部 アナトリアのボリシェヴィキ(エフェたちのパルチザン;緑軍と「不可能な革命」)
第3部 スルタンガリエフ異聞(スルタンガリエフとムスリム赤軍;もうひとつの「ディアスポラ」とエスニシティ;ソ連のなかの「オリエンタリズム」)
第4部 スーフィーとコミサール(ヴァイソフ神軍考;カフカースのスーフィー)

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

印度 洋一郎

5
ロシア革命前後における、ロシアのムスリム及び強い繋がりを持つトルコの去就を分析している。ソ連時代に書かれた、まだ資料が足りない状況下での労作。中央アジアのトルキスタン、カフカズのチェチェン、そしてトルコ系民族の本貫であるトルコ、帝政ロシアの抑圧からの解放を望み、自分達のアイデンティティの根幹であるイスラムと宗教を否認する共産主義との整合性に腐心し続けたムスリム・コミュニスト達の苦闘もさることながら、色々な民族の価値観と利害が衝突するカオスのようなロシアの状況に、読んでいて溜息が出る。正に難治の国ですな。2015/05/02

工藤 杳

2
この著者の本には啓発されるところが多い。イスラーム視点からのロシア革命という観点はいま読んでさえ清新なのに、出版されたのが88年ということを考えると驚くしかない。インターナショナリズムの美名のもと、その実ロシア民族第一主義に陥ってしまった革命だが、このロシア人とロシア国内の異民族という問題(革命も結局そこに帰結してしまうわけだが)は、歴史的に根が深いものだということがわかる。いくつもの言語に渡る膨大な参考資料が圧巻。 「また『資本論』をコーランの翻訳と考えるトルコで広くいきわたった誤解」(126)2017/02/12

可兒

0
流し読み。再読する2013/06/21

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