ちくま学芸文庫
ヘーゲルの精神現象学

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  • サイズ 文庫判/ページ数 338p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784480082909
  • NDC分類 134.4
  • Cコード C0110

内容説明

1807年刊行のヘーゲル『精神現象学』は、「意識」が対象の知覚という最も低い段階から出発しつつ、経験を経て「自己意識」に、さらにはより高次の「理性」、すなわち、絶対の他在のうちに純粋に自己を認識する『絶対知』に到達する過程を描いて、近代哲学に一時代を画したもの。この晦渋・難解な大著を、同書の完訳者である著者が、懇切丁寧に解説する。一地方の非アカデミックな研究者たちの熱意に導かれるようにして講義した著者の、その語り口がヘーゲルの思想の核心を開示する。恰好のヘーゲル『精神現象学』入門。

目次

カントとの関係
ヘーゲル哲学における『精神現象学』の位置
近代精神史上の位置
現象学の構成
現象学の目的
現象学の方法
意識(対象意識)
自己意識
理性
精神の史的叙述

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

白義

18
古典にして、ヘーゲル入門最良の名著。ぶっちゃけ、最近の新書とかより遥かに丁寧でしかも分かりやすい。日本初の精神現象学完訳者だからこそ出来た、徹底的にして正確無比な精神現象学入門。精神現象学にはヘーゲル体系が入っているので、結果的にヘーゲル思想全体の導入にもなっている。この分かりやすさは、竹田、長谷川も超えたかもしれない。金子、長谷川どの訳でも精神現象学は難物だが、お供にというなら金子の入門書が一番いいと思う。精神現象学本体は誰の訳でも気に入ったものでいいです2011/12/01

またの名

10
批評する側は学会や世間の水準を高めるため良いものを良いと指摘してるつもりだが「俺の方が専門家で詳しいからな」「地位を恵まれない俺ですら知ってるのに大学教授が知らないとはw」と実は思っていたり、若人のミスを見逃すとき自分がいかに寛容なヒューマニストかを誇示する優越意識が働くといった精神的動物の国の欺瞞の説明などが、とても明快な解説。対立していると思われた主体と客体が根底では同じであり主体は実体でもある弁証法の思考において、誠意と欺瞞、善と悪はいつでも相互転換し得る相対的対立にすぎないこともすぐに理解させる。2016/04/21

ラウリスタ~

7
ヘーゲルが近代哲学を完成したというのは、唯一で絶対なキリスト教の神髄までをも説明するような体系を打ち立ててしまい、それ故に「いや、でもそれキリスト教におんぶにだっこじゃん」という19世紀末からの批判を必然的に呼び覚まし、時代を変えたから、ということでいいのかな。学校の先生達に向けてこんな話して、よく受講生が長く続いたなあと思う。2015/09/15

よしくん

3
『精神現象学』の厄介な所は、話が一見脈絡も無くポンポンと飛び、更にカントを批判したと思えばまた古代ギリシアに話が戻るなど、歴史もグッチャグチャに見える所だ(頭の凄く良い人の話は、凡人にはそういう風に聞こえる事が多いけれど)。本書はそんなヘーゲル 大先生の御言葉を凡人にも分かるように、一本筋を通してくれる名著。ヘーゲル の主張をシームレスに最初から最後まで繋げてくれる。噂に違わぬ名著だと思う。悪名高い「ヘーゲル 語」も極力避けて叙述してあってわかりやすい。絶版になっていて、入手が多少困難なのがとても残念。2023/09/23

土曜の朝

2
ヘーゲルの「精神現象学」入門書2冊目。なんとか通読したものの、半分も理解できず。入門書ですら理解がおぼつかないため、ヘーゲルが西洋哲学の最難関であるというのも頷ける。2022/10/21

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