ちくま学芸文庫<br> スペインを追われたユダヤ人―マラーノの足跡を訪ねて

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ちくま学芸文庫
スペインを追われたユダヤ人―マラーノの足跡を訪ねて

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  • サイズ 文庫判/ページ数 359p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784480082800
  • NDC分類 316.88
  • Cコード C0122

内容説明

1492年、コロンブスが新大陸に第一歩をしるした年、カトリック・スペインは、800年間存続していたイスラム勢力を一掃するとともに、ユダヤ人の追放をも決定した。追放か改宗か。地中海を東へさまよう者、ポルトガルへ逃れる者。しかし、多数のユダヤ人は、みずから改宗の道を選ぶ。彼らは、「マラーノ」(豚)と蔑まれながら、異端審問の恐怖におびえ、迫害に耐えていった。そもそも固有の領土をもたないユダヤ人が、自己をも否認するという『二重の否定性』を身にまとうこと―この「マラーノ性」は、精神の奥深く刻印される。マラーノの足跡をたどり、マラーノ精神の体現者、スピノザ、マン、カネッティを語る、壮大な精神史の試み。

目次

第1章 ユダヤ人の不安
第2章 ドイツのマラーノ
第3章 カバラ主義者の故郷ヘローナ
第4章 グラナダ一四九二年
第5章 火刑都市セビリヤ
第6章 コルドバの猶太人街
第7章 トレドの死の影のなかで
第8章 ポルトガル・マラーノの行方
第9章 棘族の末裔スピノザ
第10章 あるマラーノ研究者の運命
第11章 トーマス・マンの「マラーノ的」魅力
第12章 エリアス・カネッティ―ふたつの追放の言語をもつ作家

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ラウリスタ~

15
非常に面白い本だった。コロンブスが新大陸へと乗り出した年は、スペインからイスラム勢力が追い出され、それと同時にユダヤ教徒をすべて国外退去させることがようやく決まった年だった。「キリスト教徒」として生きのこらざるをえなかった隠れユダヤ人「マラーノ」たちの放浪の歴史を、現代に残るイベリア半島のユダヤ人街を訪ね歩きつつ遡る。ドイツ文学の専門家が行うスペイン歴史紀行は、学問的な著作という異常に魅惑的な歴史探索であり、それでいて隠匿されつづけた視点からここ500年のヨーロッパ史を見つめ直す意欲作である。2016/03/24

あかつや

5
かつてスペインにおいて追放かキリスト教への改宗かの2択を迫られたユダヤ人。改宗した者たちはマラーノ(豚)と蔑まれ、後の異端審問で激しい追及を受けることとなる。歴史的に迫害を受け続けたユダヤ人っての知識としては知ってても、それの具体的な所はナチス関係以外はあやふやだった。なるほどひでえ話だ。しかもまだ終わってないよな。アメリカの学園ドラマなんかでも黒人とはまた違う方向で個性を発揮するユダヤ人の生徒とかいるもんな。まだ白人の中で仲間以外として区別されてるんだろう。世界を支配するユダヤ人的な陰謀論もその現れか。2022/08/03

ヤクーツクのハチコ

4
「失われた時を求めて・ゲルマントのほう」で貴族のサロンの会話をしょうもないと思いながらも「土地の名」の連発に夢想を掻き立てられうっとりとするというくだりがあったが、おなじく真摯にうけとめないといけない排斥・迫害の歴史のはずなのに、遥かなる歴史を追う旅本として夢想を掻き立てられてうっとりとしてしまった。トマス・マンの「魔の山」の章が特に興味深い。挫折寸前だったナフタとセテムブリーニの論争の章を、再度この考察の観点から読み直してみるときっと面白いはず・・2016/05/06

Masayuki Shimura

2
[漂浪という常態で]「マラーノ」と呼ばれた人々に関する歴史をそもそもあまり知らなかった自分としては、世界史の一側面として、本書で述べられているような過去があったという点で既に驚かされました。「多数派」からは見えてこない西欧の歩み、特にスペインとポルトガルのそれが明らかにされているため、ユダヤ教に興味を有する人に限らず、広くヨーロッパやキリスト教に関心がある方にもぜひオススメしたい作品です。2015/07/17

チエコ

1
コルドバのマイモニデスという人のことがわからなかったので、書いてあってよかった。2016/04/08

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