内容説明
愛着のある、依存する対象を失うことは、いつでも悲しみの感情を引き起こす。最愛の人、かわいがっていた動物、毎日抱いて寝た縫いぐるみ、また、住み慣れた家や自分自身のイメージまで、ひとはさまざまなものを失いながらも、その悲しみを乗り越えて生き続けなければならない。「悲哀の仕事」(フロイト)を十分になしとげ、心豊かな大人に成長していくにはどうすればよいのだろうか。深い愛情をもって子どもたちに接してきた精神科医が、豊富な臨床例と卓抜な物語解釈をとおして語る「対象喪失」への処方箋。
目次
第1部 対象喪失の心的世界(対象喪失とは何か;乳幼児期の対象喪失反応;度重なる対象喪失と絶望;喪失対象を探し求めて ほか)
第2部 対象喪失による病理現象(登校拒否と対象喪失;乱暴・いたずら・いじめと対象喪失;緘黙症と対象喪失;心身症やヒステリーと対象喪失 ほか)