内容説明
第2次大戦に従軍したひとりの若者が、日本軍の俘虜となり、タイ・クワイ河流域の収容所に送られた。日本人による苛酷な「接待」。不信と憎悪と死臭にみちた生活。アジアを含む膨大な死者を生んだ泰緬鉄道建設の強制労働。収容所という20世紀に現出した地獄のなかで、しかし奇跡的に俘虜たちは、友愛の精神を通して人間性を取り戻す。本書はその、もうひとつの戦いを描いた人間記録である。
目次
死の家
海上で
待っていた接待
死のかげの谷
クワイ河の奇跡
「なんじ我とともにいませばなり」
壁なき教会
クリスマス、一九四三年
チュンカイより、さらに
最後の旅路
谷をすぎゆく
…そして、その後
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
かんやん
8
旧日本軍の俘虜となり、泰緬鉄道建設に従事した著者の回想。「アーロン収容所」にはこんな立派な英国人は一人も描かれてなかったな。もちろん、それが戦争というものなんだろう。しかし、仲間が次々と殺され、死に、病と飢えに苦しみ、死者や病人からも盗み、互いに出し抜き合うような地獄の日々の中で、神が見出されるのである。平穏無事な日常では、決してこのような回心は起こらなかっただろう。そして、「汝の敵のために祈れ」という教えを実践してゆこうとするのである。キリスト教の最もユニークで困難な教えではないだろうか。感銘を受けた。2016/10/13
Butterfly
1
極限状態になった中で、肉体的、精神的な生を見つける。今読めて良かった。 この本にある聖書の訳は2版分ほど古く、讃美歌も今は変わったと聞くが、古さを感じなかった。 絶版になっているが、是非また出版して貰いたい。2017/07/12
永都ルツ
0
図書館で借りて読みました。 クリスチャンなら信仰的に励まされますし、 一般の人も慰めを受けると思います。 こんな極限状態に置かれても、人を愛する ことができるなんてすばらしいとしか いいようがありません。2024/02/29