出版社内容情報
みずから歴史に参加し、国家・社会に強い影響を与えた、多様な人間たちの行為や言辞を伝える。「伯夷」に始まる全七十巻の記録。
内容説明
中国の古典中の古典ともいうべき『史記』の全訳。「列伝」は、みずから歴史に参加し、国家・社会に強い影響を与えた人間たちの行為や言辞を伝える。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
かごむし
25
「天道なるものも、はたして正しいものなのかどうか」(天道是か非か)という大きな問いかけからはじまる史記列伝。そこには、天道に見捨てられ、歴史に名をあらわすことなく埋もれてしまった賢人たちを、司馬遷が己の筆で掘り起こして名を刻むのだ、という執念のようなものを感じた。列伝は面白いエピソードがたくさんあり、読んでいて非常に楽しい。この巻は主に春秋戦国時代が舞台。優れた人の列伝であっても、司馬遷の評価は極めて厳しいが、賢人を見出し、その才を活用し民や国を豊かにした為政者に対しては、優しい目をしているように思った。2016/05/29
加納恭史
21
史記を良く読んでみようと、代表作の有名な列伝1を開く。列伝に修められた人物は古来より有名な人であり、故事や成句として現代まで残っているものも多い。史記特に列伝で面白いのはその人の生き方や考え方であろう。その時々に司馬遷は太史公言うとして自分の感想や評価を述べていて、それが的を得て、そんなものかなと考えさせられる。まあ、このような読書は考え方または判断の訓練になっていると思われる。伯夷列伝第一。学問には文献が多いが、真偽のほどは、やはり六芸(詩・書・礼・楽・易・春秋の六経)に照らして考えるべきである。2022/08/23
Francis
9
史記はこの5分冊から日本で人口に膾炙した「列伝」に入ります。歴史ファンが好きなエピソードや故事成語は大体この列伝からの引用が多そう。合従連衡策を各国に説いた縦横家の蘇秦・張儀列伝は読んでいると今で言うマウントを取っているようで何だか嫌になってしまった。司馬遷の評価も何だか微妙。孟子・荀子は随分あっさりした記述で司馬遷はお好みではなかったらしい。歴史の教科書で性善説・性悪説と対比して取り上げていたので拍子抜けした。この頃はまだ孟子も荀子も孔子に比べるとそれほど大した思想家ではないと思われていたのだろうか。2025/05/03
perLod(ピリオド)🇷🇺🇨🇳🇮🇷🇿🇦🇵🇸🇾🇪🇸🇾🇱🇧🇨🇺
7
春秋・戦国時代はよく知られているように諸子百家が有名で、そこで遊説の士がたくさん現れた。著名な孫氏・孟子等、君主に教えを授ける人々が書かれている。主に「目下の問題は強大化する秦を相手にどう対処するか? 私の説を採用いただければお国は安泰です!」的な内容。一強国対して中小国がどう対処すべきか、それを色々な人が論じて、割と有名なのが『韓非子』。”東洋のマキャベリ”って、やっぱり西洋は東洋をずっと追いかけてきたのが分かる。だからといって”東洋は西洋よりすごいんだよ!”なんて言わない。みっともないから。→続く2021/10/26
ヴィクトリー
3
列伝ともなると、同じ人がいろんなところに出てくるので、なかなか一度読んだだけではきちんと理解できない気がする(特に戦国時代、縦横家とかがあちこち飛び回ってる頃)。ある人の伝では名前が出てくるだけの人だったのが、後の方でその人の伝が立てられていて人となりが分かると、元のところを再読すると印象も変わって理解も深まる(そもそも、そこにその人が出ていた事さえ忘れてたりする。だから人物索引が欲しいのだが…)。どうもメモでも取って、何度も読み込まないといけない本の様だ。まぁ、面白いから全く苦にはならないと思うけど。2014/11/23