出版社内容情報
黄帝より始皇帝の時代を経て漢の武帝に至る帝王の記録。中国史進展の大筋を「五帝」「夏」「殷」など十二巻で述べる。
【解説: 砺波護 】
内容説明
中国の古典中の古典ともいうべき『史記』の全訳。「本紀」は、黄帝から秦の始皇帝の全土統一を経て、漢の武帝時代にいたる、歴史における帝王の系譜。
目次
五帝本紀第一
夏本紀第二
殷本紀第三
周本紀第四
秦本紀第五
始皇本紀第六
項羽本紀第七
高祖本紀第八
呂后本紀第九
孝文本紀第十
孝景本紀第十一
孝武本紀第十二
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
やいっち
47
二週間ほどを費やして14日(水)に何とか通読完了。尤も、ほとんど眺めたようなだけに終わった。本書を読むのは長年の懸案だったが、とりあえず端緒に着いた? なんたって「中国の古典中の古典ともいうべき『史記』」だからね。 2024/08/14
ころこ
45
GWに中島敦『李陵』を読んで、改めて感銘を受け、本書を読んでみることになりました。殷、周、晋、漢…ではなく、夏という時代があり、さらに『古事記』のように神話時代があることを知りました。冗長な文章を想像していましたが、簡潔で、項羽(第7)と劉邦(第8)が登場し、1巻で通史が終了してしまいました。物理的に保存できない過去の書物の実在性を疑っても仕方がないので、あの司馬遷が書いた文章だと思って素直に読むことに躊躇はありません。我々の価値観は、別の国のこういう人のものの見方と繋がっているような気がするのですが。2019/07/20
加納恭史
25
列伝あたりから読んだが。「史記2書・表」も少し読むが礼や楽に詳しいなあ。占星術もあり、祭や儀式につけても詳しい。やはり「史記1本紀」をよく読まねばと検討する。本紀は五帝本紀第一から。最初は神農氏、続いて黄帝の時代。その時代は、徳を修め、兵を整え、五気(木・火・土・金・水)を治め、万民を慈しみ、良い政治だったらしい。次は帝尭の時代。その仁愛は天と同じく、知識は神のようで、接すると温仁なること太陽を仰ぐように、・・。まあ本当かな?尭は年老いて後を継ぐ者を探した。それが舜である。その後継者は水を治める兎である。2022/08/28
かごむし
24
<再読>前回読んだ時は、無味乾燥に思えた歴史の記述が、面白いものになっていた。文章の奥に見える人間群の動向が感じ取れるようになってきたからだろうか。「本紀」は帝王の系譜を綴ったものだが、漢の高祖(劉邦)と、漢の孝文帝がよかった。ある状況、目的の中で、どうすれば人民を導き、国益を最大化していくのか、ということが政治の主題であると考えるならば、戦国時代に自国を守るため、人民を酷使せざるを得ない政治もある意味正解だし、漢帝国成立後、民衆の安定のための政治改革を行った孝文帝も正解なんだろうなと、いろいろ考えた。2016/03/30
Francis
16
箱入りで購入していたがずっと積読していた本。猫町俱楽部で聖書読書会が始まったのでふと手に取ってみて今が読み時ではないか、と思って読み始めた。本紀は中国の正統とされる王朝の君主についての歴史。意外と面白く読める。秦の始皇帝は母親についての記述はいくら何でも嘘じゃない?とは思うがこれでは部下は付いてこれそうもない。このくらいの個性がないと中国を統一できなかったのは否定しないが。だから高祖劉邦、名君とされる文帝を輩出した漢王朝の支配が受け入れられ、民族名にもなったのだろう。歴史を考える材料に事欠かない名著。2021/10/29