内容説明
博覧強記にして奔放不羈、稀代の天才にして孤高の自由人・南方熊楠。本書は、猥雑なまでに豊饒なこの在野の国際的生物学者・民俗学者の精髄を伝える論文・エッセイ・書簡を精選し、博引される漢籍仏典を読み下し文にし、表記を現代風に改めて一冊に収めた、南方熊楠の世界への最良・最適のガイドブック。
目次
履歴書
人柱の話
巨樹の翁の話
今昔物語の研究
西暦九世紀の支那書に載せたるシンダレラ物語
伝吉お六の話
猫一疋の力に憑って大富と成りし人の話
虎に関する史話と伝説民俗
田原藤太龍宮入りの話
ダイダラホウシの足跡
涅歯に就て
無言貿易
針売の事
神社合祀問題関係書簡
 1 ~ 1件/全1件
  感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
roughfractus02
6
          
            著者の文は連想と逸脱が特徴だが、言語学では連想は述語を固定し主語を入れ替える隠喩タイプ、述語を主語に入れ替える換喩タイプがあるという。神の足跡を東西比較する説話では、足跡を残すという述語を固定し、西洋の神と日本のダイダラホウシの主語が入れ替わる。虎に関する説話では、虎は残酷だ、残酷は血を流す、血は赤い、赤いは花、と主語と述語が転換を続ける。著者にとって語は柔軟性を持ち、一つの意味に固定されない。この思考は、柔軟な「理事無礙」から透明な「事事無礙」に向かう華厳経の燦爛たるネットワーク宇宙のビジョンに重なる。2022/11/16
          
        中年サラリーマン
3
          
            文章あたりの内容の密度が濃すぎ。いつもはそこそこなスピードで本を読める僕もなかなか読みすすめられず。凄まじい本でした。2012/02/26
          
        ゲンショウ
1
          
            雑誌で入門書として取り上げられていたので拝読。含蓄が多く、日本語も候文だったりと非常に苦労しましたが、彼の文章は何となく癖になります。又、物事を全体として捉える考え方には敬服。世界最初のエコロジストであり且つ20世紀を代表する著述家です。2009/12/27
          
        noname
1
          
            熊楠さんがシモネタ大好きだということが分かる一冊2008/11/23
          
        豆乳みたらし
0
          
            知識の洪水、いやダムか。とにかく並大抵の蘊蓄ではない。途中から調べながら読むのがめんどくさくなってそのまま読み進めました。まずは漢検1級とって、古今東西の著名な書物に関する基本的な内容を知ってから再読したら、今より理解できるようになるかもしれないとぼんやり思った。それにしても南方さん在英時代の話は痛快。もっと世に知られるべき日本人。2014/08/06
          
        



 
               
               
               
              


