ちくま学芸文庫<br> シゾイド人間―内なる母子関係をさぐる

ちくま学芸文庫
シゾイド人間―内なる母子関係をさぐる

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  • サイズ 文庫判/ページ数 312p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784480081001
  • NDC分類 146.1
  • Cコード C0111

内容説明

一見社交的で明るいが、自分が傷つくことを恐れて人との深い結びつきが持てない、現代日本人。その場その場にふさわしい人物を演じて自分の異質さを表に出さない「同調的引き込もり」をキーワードに、「シゾイド(=分裂)人間」という現代人像を鮮やかに提示し、その精神分析を通じて母子関係における「心」の成り立ちを探る。

目次

プロローグ 心への出発点
1 母子関係の起源―エロス的コミュニケーションの世界
2 心の中の母親像―内的対象の形成
3 幻想と錯覚―主観と客観の交錯する世界
4 三者関係の世界―父と母と子どもの抗争
5 母性愛神話の崩壊―阿闍世コンプレックスとは何か
6 おとなに潜む子どもの心―過去を行為する
7 シゾイド人間―新しいタイプの人間たち
8 日本人のシゾイド人間化―日本的マゾヒズムとの関係
エピローグ 精神分析の目的

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

たばかる

14
フロイトを基にした社会心理学?シゾイド=分裂病と共通した気質を持った人間が近代日本で増加している。その理由表層的付き合い←帰属感の希薄さ=深い関わりの恐怖といった共同性の崩壊をあげ、最後に高度な近代化による便利さが子供の全能感を肥大させたと帰結する。筆者はこの心的な変化は社会の進化に適応するために必要だったものだと言うが、今後とも更なる異様な変化を辿る可能性もある。それなら、こういった内面の社会との相関を自覚しつつ、ジソイド的なマインドを合理性が求められるうまく使いこなせられる程度な立ち位置を獲得したい。2019/06/05

カイザー

2
精神分析系のエライ先生がお書きになった本。前半は勉強にもなるし、納得する点も多々ありました。が、後半にかけて、それこそタイトルにあるシゾイド人間の話になってくると、著者の考え、特に女性性の在り方を説く部分にはちょっと時代錯誤かなぁと思ってしまうことも。1980年に書かれたとあれば当然と言えば当然なんでしょうが、こういう考えがベースになっている精神分析はやっぱり偏りが出てくるなぁと思いました。2013/12/02

ふぃふ

1
昨年薦められるがままに卒論のためざっと読んだのを、改めて読み直した。「愛の破壊性」や、「内的対象と外的対象が同じだと思うときに、ある種の錯覚が起こるわけです。」(P.87)という箇所は自分のことに重ねてしまい、落ち込む。去年も今年も恋愛は上手くできなかった。卒論にもっと上手く活かせたのではないかとも思ってまた落ち込む。自分のことを抜きにしても、精神分析に興味が出てきた。後半のシゾイド人間については、現代の方がより悪化?しているだろうし機械に対する全能感は増しているだろうな…と思う。2015/11/27

バルデンス

0
シゾイド(若しくはスキゾイド)パーソナリティー障害という、日本ではまだあまり馴染みのない言葉を知っているので、それについて詳しく知りたくて読んでみた。障害と呼ばれるほど問題として顕在化していない程度、飽くまでも気質レベルでの話が中心。が、特定の一部の人について述べているのとも違い、現代人の多くが処世術として備えるようになった習性とも取れる、かなり包括的な概念。当初想定していた内容とは違うが嬉しい誤算で、古くても良書。障害とは他者との関係性が前提で、そこに問題がある場合での認定。

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