内容説明
1848年のウィーンの革命史の実態を詳細に描くなかで、著者は「歴史なき民」こそが歴史の担い手であり、革命の主体であったという事実を掘り起こす。少数民族や賤民が生き生きと描かれた本書は、著者の自己の半生をかけて達成した成果を克服しようとする試みであり、思想史から社会史への転換点を示す記念碑的作品である。
目次
向う岸からの世界史―ヘーゲル左派とロシア
四八年革命における歴史なき民によせて
一八四八年にとってプロレタリアートとは何か
ウィーン革命と労働者階級
もう一つの十月革命―歴史家とプロレタリアの対話として
ウィーン便り
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
まえぞう
24
欧州の一連の1848年革命のうち、ハプスブルク帝国におけるウイーン革命にスポットをあてた小論をまとめたものです。3月革命で生じた実質的な民主制が10月蜂起を経て失敗に終わるまでが中心です。ブルジョア革命の失敗として評価されますが、山場の10月のウイーン攻防戦を戦ったのが、ブルジョア勢力と皇帝軍ではなく、(エンゲルスによれば歴史なき民とされる)プロレタリアートとクロアチア戦士であることを強調しつつ、欧州歴史家のメインストリームによる見方ではない方法を模索したものになっています。2026/03/11
まえぞう
18
ウイーンにおける1848年の革命をブルジョアではなくプロレタリアのサイドからの見方を中心に据えて論説されます。私はこの1848年の革命の帰すうが変わっていたら、その後のドイツ、ひいては世界の歴史が変わっていたのではと考えるのですが、この本を読んでみると、現在のいわゆる東欧といわれる国々のEUに対する向きあいかたにも影響しているんだなあと感じました。2023/05/21
Ex libris 毒餃子
8
1848年ウィーン革命についての論文やらエッセイやらをまとめた本。帝国国内での民族階層や社会階層が詳らかになって、ヴェルサイユ体制下での民族自決やロシア革命の下地を生々しく感じます。2019/05/29
crow_henmi
3
1848年の自由主義革命において、無視されがちなプロレタリアートの行動に焦点を当てたことにより立ち上がってくる革命観。当初の革命支持層だったブルジョワの視野や歴史観の狭さによって疎外されたものたちを生き生きと描き出す。2011/01/07
受動的革命
2
前に読んだ時は固有名多すぎてよくわからなかったけど再読してめちゃくちゃ凄い本だと気づいた。あとがき&解説で、地方貧困層出身の自らが、肉親や仲間を踏み台にして研究者にのしあがったときの「やりきれなさ」を「学者にはなれず、また学者にはなってはならない」ところで引き受けることが言われており大変印象深い。2025/05/23




