出版社内容情報
「仕事が外国人に奪われる」
「マンションが買えないのは外国人のせい」
「外国人が日本の社会保障を受けられるなんてずるい」
「外国人が来ると治安が悪くなる」
誤解と不安を取り除く!
国境を越えた移民のメカニズムから、
いま吹き荒れる排外主義まで
「移民」にまつわる基礎知識を、第一人者が解説――
少子高齢化による労働力不足や、流動的な世界情勢を受け、 近年日本に多くの外国人がやってくるようになった。2070年には、人口の約10%に達するとも言われる。それに対し、 治安や社会保障に関する不安の声は多く、 排外主義も台頭している。 移民は日本にとって救世主なのかリスクなのか? 日本は欧米のように分断されるのか? 移民なしではこの国はもたないのか? 第一人者が、エビデンスを基に、 移民政策の歴史と未来について考察。移民をめぐる議論に一石を投じる。
【目次】
はじめに
序章 増え続ける外国人
1 増え続ける外国人
2070年には10人に1人が外国人に/日本はまだ移民を受け入れられるのか?/隠された「人口ボーナス」としての外国人
2 日本における「移民政策の不在」
根強い「移民政策の不在」論/ 「日本に移民政策はない」は本当か?/グローバルな視野が欠けた移民政策論/本書の構成/想定される読者
第1章 「日本に移民政策はない」は本当か?――現代日本の移民政策
1 「日本に移民政策はない」と言われるのはなぜなのか?
2つのアプローチ/移民政策不在論のパラドクス
2 移民政策が抱えるジレンマ
「移民」とは誰か?/移民政策の基本構造/国際的なガバナンス体制の欠如/持続可能
な開発目標/安全で秩序ある正規の移住のために/国家が抱えるジレンマ
3 世界の移民政策
中心的な地位を占める「永住型移民」 /増えつつある「一時滞在型移民」
4 現代日本の移民政策
実は多くを占める永住型移民/日本は一時滞在型移民受け入れ世界第6位/リベラルで開放的な移民政策を取る日本/日本のアドバンテージ/国際的な枠組みにおける評価/日本は「移民国家」である/さらなるリベラル化の可能性/移民政策の謎を解くため、歴史の深層へ
第2章 少子高齢化と移民を考えるために――移民政策の歴史
1 グローバルな移民政策の動向
現代国際移住システム前史/戦後に増加した旧植民地からの移民/グローバル化した冷戦後の移民/戦後アジアの移住システム/グローバル化と「移民の女性化」/国際移住のさらなる拡大/「リベラル・モデル」から「マーケット・モデル」へ/日本の移民政策は閉鎖的なのか?
2 移民送り出し国としての戦前日本
移民送り出しの3つの潮流/ハワイ、アメリカ移住と受け入れの停止/ブラジルや旧植民地への移住
3 入管行政はなぜブラックボックス化したのか?
4つの時期区分とそれぞれの特徴/ 「管理と排除」の時代/入管行政ブラックボックス化の原因
4 戦後日本移民政策の展開
難民条約をきっかけに人権が拡充された/在日コリアンの定住化と権利獲得/ 「埋め込まれたリベラリズム」の成立/アジアの国際労働市場の勃興/ハイスキル人材の受け入れ/ 「技能実習制度」の創設/ 「技術実習制度」の沿革/ 「サイドドア」としての技能実習制度/帰還する日系人の受け入れ/意図せざる「サイドドア」
5 少子高齢化と移民政策
ハイスキル人材受け入れの国策化/中間的職種の「発見」 /介