出版社内容情報
世界哲学は西洋中心の哲学を根本から組み替え、より普遍的で多元的な哲学の営みを創出する運動である。本来の哲学を再生させ、開かれた知の世界へと読者を誘う。
内容説明
世界哲学とは、西洋中心の「哲学」を根本から組み替え、より普遍的で多元的な哲学の営みを創出する運動である。それは、私たちの生活世界を対象とし、多様な文化や伝統や言語の基盤に立ちつつ、自然環境や生命や宇宙から人類を反省する哲学であり、世界に生きる私たちすべてに共有されるべき普遍性をもった、本来の哲学を再生させる試みでもある。『世界哲学史』(全九巻)の成果を踏まえつつ、より広い視野で世界哲学を本格的に論じ、開かれた知の世界へと読者をいざなう。
目次
1 世界哲学に向けて(生きた世界哲学;世界を生きる哲学;世界哲学を語る言語;哲学の普遍性)
2 世界哲学の諸相(哲学を揺るがすアフリカ哲学;世界哲学としての現代分析哲学;東アジア哲学への視座;世界哲学をつくる邂逅と対決)
3 世界哲学の構想(ギリシア哲学という基盤;対話と挑戦としての世界哲学)
著者等紹介
納富信留[ノウトミノブル]
1965年生まれ。東京大学大学院教授。東京大学大学院人文科学研究科修士課程修了。ケンブリッジ大学大学院古典学部博士号取得。専門は西洋古代哲学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
さとうしん
14
『世界哲学史』シリーズの補編というかダイジェスト的なものというか今後の展望的な内容。哲学そのものというより哲学研究を取り巻く現状の話が中心。話題が多岐に渡るが、翻訳のディレンマの話、アフリカ哲学の位置づけの問題、ギリシア哲学と印度哲学との邂逅の話を面白く読んだ。2024/02/28
いとう・しんご
10
多分、本書こそが優れた哲学入門だと思いました。アフリカやアジアの哲学との対峙の中で西欧哲学を相対化しつつ、哲学の根源と可能性を問うこと、そして当面する危機に一人ひとりがどう向き合うかを哲学とともに自らに問うこと、を呼びかけています。ヤスパースが西欧哲学を超える永遠の哲学を構想した時に考えていたことと重なり合いつつ、新たな研究成果でそれを乗り越えようとする試み。強いて言えば宗教との対話が欠けているかなぁ、と。哲学に何が出来るかを問う前に、哲学で何が出来るかを問うべきではなかろうか。2025/03/18
sk
6
世界哲学というメタ哲学。重厚。2024/05/22
oooともろー
5
哲学と言えば西洋哲学、という固定観念を相対化。アフリカ哲学はとても新鮮。分析哲学の部分は難解。あきらめずに対話していくこと。2025/05/20
Ex libris 毒餃子
5
「哲学」をエポケーするために「世界哲学」という視座を導入し、「哲学」の営みについて地域や時代を反映させて再論議する試み。2024/08/09