出版社内容情報
民主主義だけでは民主主義は機能しない。それを補完・抑制する自由主義、共和主義、社会主義などの重要思想を一望し、政治について考えることの本質に迫る。
内容説明
近年、民主主義の危機が叫ばれ、その重要性を訴える議論が巻き起こっている。だが、民主主義を擁護するだけで本当に今日の「危機」は回避できるだろうか。むしろ、民主主義それ自体がポピュリズムなどの現象を招いているのではないか。本書では、政治思想が「民主政」批判から始まったことに注目しつつ、民主主義だけでなく、それを補完・抑制する原理としての自由主義や共和主義、社会主義などを取り上げ、それぞれの歴史的展開や要点を整理していく。民主主義を機能不全から救い出すために何が必要か、その核心に迫る白熱の講義。
目次
序章 人間と政治―なぜ市民が政治学を学ぶのか
第1章 民主主義―それだけで十分か
第2章 自由主義―なぜ生まれ、なぜ根づいたのか
第3章 リベラル・デモクラシー―歴史の終着点か
第4章 共和主義―誰もが「市民」になれるか
第5章 社会主義―過去の遺物か
終章 民主主義を活かすために―なぜいま政治思想か
著者等紹介
梅澤佑介[ウメザワユウスケ]
1987年、神奈川県生まれ。慶應義塾大学大学院法学研究科政治学専攻後期博士課程単位取得退学。博士(法学)。慶應義塾大学非常勤講師などを経て、現在は成蹊大学法学部政治学科助教。専門は、西洋政治思想史(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ふみあき
40
「民主主義」を補完する思想として「自由主義」「社会主義」などが章ごとに論じられており、とにかく分かりやすい。ただし「共和主義」に関しては「王の不在」が要件にならないとか、一般的な解釈とは異なっており、少し戸惑ったが、最後まで読むと理解できる。しかしスティーブン・ピンカーに対する批判は的外れ(左派の学者にありがちだけど)。彼の真意は「人間社会はこれから先も放っておけば進歩していく」なんてことじゃなく、政治的課題は客観的事実に基づいて論じられるべきだということで、ましてスペンサーの社会進化論とは無関係だろう。2024/03/17
よっち
38
民主主義だけでは民主主義は成り立たない?民主主義を機能不全から救い出すために何が必要か、今日の政治を支える重要思想を一望してその核心に迫る一冊。政治思想が「民主政」批判から始まったことに注目しつつ、民主主義だけでなく、それを補完・抑制する原理としての自由主義や共和主義、社会主義などについても取り上げて、それぞれの歴史的展開や要点を整理していて、なぜ今政治思想が必要なのか、民主主義の意義を改めて確認するとともにその限界を認識して、その上でこれからどう考えるべきか、そのヒントがいろいろあったように思いました。2024/02/27
小林涼太
5
めちゃくちゃ面白かった! 哲学を少し苦手にしていたが、かなり平易に書かれており、自分が憲法学ゼミに所属していたこともあって、今まで学んでいたことが繋がっていった。社会主義こそは少し内容が薄く感じたが、民主主義・自由主義・共和主義の内容はめちゃくちゃ濃く体系的にまとめられているように思う。特に自由主義からの議会主義・立憲主義への展開、共和主義を正確に捉えられたのは僕にとって大きな収穫。 多様な考え方や現代の諸問題への捉え方を知るために必要な一冊!ぜひ読んでほしい!2024/03/12
Oki
2
習近平が「民主主義のためには独裁が必要だ。」と言っているのを聞いて何かの冗談かと思ったが、なるほど。2024/04/26
おはぎ
2
読みやすくわかりやすい説明だった。いやぁ面白い2024/02/21