出版社内容情報
なぜウクライナ戦争が起こったのか、戦時下で人々はどうしているか。虐殺の街で生存者の声を聞いた記者が、露プーチン大統領による理不尽な侵略行為を告発する。
内容説明
大破した住宅、穴だらけの乗用車、なぎ倒された街路樹、ずらりと並ぶ真新しい墓。前線では砲弾と銃弾が飛び交い、爆音、黒煙、振動、悲鳴、嗚咽、涙、流血、死が日々生み出されている。戦闘が終わっても、占領地では屈辱的な思想の押し付けや弾圧、相互の憎しみが続く―。ウクライナ各地を歩き、虐殺の街で生存者の声を聞いたジャーナリストが、ロシア・プーチン大統領の侵略行為を告発するルポルタージュ。
目次
序章 再びウクライナへ
第1章 開戦前夜の日常
第2章 開戦の日のリビウ
第3章 侵略と虐殺
第4章 破壊と占領
第5章 展望はあるのか
著者等紹介
真野森作[マノシンサク]
1979年生まれ、東京都出身。一橋大学法学部卒。2001年、毎日新聞社入社。北海道支社報道部、東京社会部、外信部、ロシア留学を経て、13~17年にモスクワ特派員としてロシア、ウクライナなどをカバーした。大阪経済部などを経て、20年4月からカイロ特派員として中東・北アフリカ諸国を担当(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
そうたそ
11
★★★☆☆ メディアの報道では聞こえてこない現地の声。それはウクライナ然り、ロシア然り。皆が皆メディアで報道されるイメージのままではない。それを期待して、ルポと書かれた本書を手に取ったが、期待を裏切らない内容だった。2023/03/04
バルジ
8
現在ウクライナ国民を災厄に陥れるロシアの侵略戦争を当事者であるウクライナ国民の視点から見つめる迫真のルポ。本書でのウクライナの惨状は読むのが辛い。ブチャでの民間人虐殺、マリウポリの無差別攻撃等ロシアの主張する「ウクライナの非軍事化」がいかに馬鹿げた代物かを痛烈に感じるが、ウクライナ人は団結しこの戦争に「勝つ」と信じる。祖国を蹂躙され「ウクライナ国民」として覚醒した彼らはいわばプーチンの「落し子」である。一方でロシア人・ウクライナ人双方に互いを見下す視座があるのも見逃せない。「兄弟民族」は複雑なのだ。2023/01/28
チェアー
5
考察を交えながらも、できるだけ多くの被災者、避難者、有識者などの当事者の声を集めようとする意思がうかがえる。 確かに考察や評価も大事だが、まず当事者の声をそのまま世界に伝えることが大事だと、私も思う。 ずっと目を瞑って見ないようにしてきた核の存在が、否応なしに目の前に置かれている。ウクライナ戦争は、中東の戦争とは違った深刻さを示している。 2023/03/12
時雨
4
毎日新聞の記者が開戦直前および解放直後の現地の声を届けたルポルタージュ。2023年1月初版。/2022年2月の侵攻直前に現地入りした著者は、首都キーウ〜リビウ〜隣国ポーランドへの退避、さらに4月末からのウクライナ再訪を通じて現地民への取材を敢行した。この限られたスペースでどれだけ言葉を尽くしても、街の惨状と人々の慟哭は表現しきれない。それでも「とにかく停戦して外交的解決を」と訳知り顔で綺麗事を振りかざす前に、軍事的抵抗の及ばない地域で一体何が起きる可能性があるのかを、当事国でない我々こそが直視すべきだ。2023/03/28
Marcel Proust
3
2014年からのクリミア占領・ドンバス紛争を取材した「プーチンの戦争」に続き、2022年からの全面侵略を取材した本書を読む。国際報道の取材力に疑問を呈される事が多い日本のメディアにも、真野記者のような真実を伝える非常に優れた記者がいる。日本の言論界にもロシアに取り込まれた佐藤優のような存在がおり、「(侵略戦争を)善悪の観点から一方的に見なし、(ロシア側に立っていない主張の著作は)ほとんどノイズである」などといった馬鹿げた主張を続けている。このようなプロパガンディストを駆逐する、一貫して真実を伝える名著だ。2023/08/27
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