出版社内容情報
「自分の頭で考える」ことはなぜ大切で、なぜ難しいのか。〈つながり〉という視点から人間の思考をとらえなおし、哲学的に考えることの真の意味を明らかにする。
目次
序章 哲学的に考えるとはどういうことか
第1章 読むという営み―書物のつながり
第2章 網の目なかの個人―言葉とのつながり
第3章 人間らしさとは何か―過去とのつながり、未来とのつながり
第4章 科学的であることの意味―学問どうしのつながり
第5章 個人から人類へ―人と人とのつながり
第6章 共存する思想―文化間のつながり
終章 集合的知性へ
著者等紹介
米山優[ヨネヤママサル]
1952年、東京都生まれ。東京大学大学院人文科学研究科単位取得退学。博士(学術)。名古屋大学大学院情報学研究科教授などを歴任。名古屋大学名誉教授。専門は、情報学、哲学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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chie
18
オーギュスト・コントという哲学者の考えた実証主義と、『ヴァーチャルとは何か?』の著者ピエール・レヴィという人の「集合的知性」という考え方をつなぐ解釈。古典とか、哲学とか、思想とか、読み解くだけでも大変なことだろうに、それらを自分の解釈でまとめていくことは、発明に近いのではないだろうかと思った。以前に漠然と考えたことがある「人類のDNA」と、「集合的知性」はどこか似ているかもしれないと思い、興味が沸いた。何はともあれ、蜘蛛の巣に引っ掛かった虫みたいな気分で読み終えた。2023/01/12
Ex libris 毒餃子
12
オーギュスト・コントを中心にアランやベルクソン、フランス現代哲学を論じた本。コントの思想を詳解した本はあまりなく、科学哲学よりの内容だったので、楽しめました。2023/01/14
木麻黄
3
難しかったです。が,核心を突く指摘の多さに,頁を手繰る手が止まりませんでした。独特の基礎用語が多いため,メモを取りながら読んだ方がいいでしょう。世界の捉え方が想像の超越者から観察の統一理論へ,そして最後は相対的な現象の理解へと至る筆運びは,齢50余年の私には得心することしきりでした。感銘を受けた文章を挙げるとすれば「要するに諸芸術は人間の身体に近いところから始められ,次第に身体を離れて,ついには思考に到達します。…他人と共通の思考に到達するのです。」。他にもあったはずなのにw,やはりメモを取るべきでした。2023/08/27
くらげかも
2
面白かったと思う。色々な学問が、数学のような厳密性・論理性を持つものを理想としてそのような方向へ進んでしまえば、その学問はたちまちこの世界を生きる我々人間の意思や、「私」と他人との関わりなど曖昧なものを切り捨て、我々人類を忘れてとても無粋なものになってしまう、というのは面白い知見だった。 集合的知性・超個体。インターネットによる超グローバル化社会で、如何にしてそれを体現するかという命題は、人生をかけて研究してもいいような面白いテーマだと思う。
くまくま
2
普段自分が知っている、考えている(と思っている)という行為がまだまだ浅いところで行っているということに気付かされ、非常にショックの大きい一冊だった。なかなか難しい内容でうまく消化しきれていないがなぜかスルスル読んでしまう不思議な感覚を味合わされた。2023/01/07
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- 和書
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