出版社内容情報
強盗まがいの凶行で数百万円だまし取られる被害者。「家族を殺すぞ」と脅され、犯行から抜け出せない末端従事の若者。今最も身近で凶悪な犯罪のリアルに迫る。
内容説明
騙すも地獄、騙されるも地獄―オレオレ詐欺、預貯金詐欺、キャッシュカード詐欺盗などの「特殊詐欺」が社会問題化しておよそ20年、累計被害総額は5743億円、1日あたり7730万円が騙し取られている。強盗や傷害、殺人未遂事件を引き起こすなど粗暴化し、末端で犯行に及んでいるのはSNSでの「闇バイト」募集から簡単にリクルートされた若者だ。本書は近年起きた事件に取材し、犯罪グループ側の組織の構図、実行の手口を犯人の視点から描く。少年から高齢者まで、全世代が警戒すべき凶悪犯罪のリアル。
目次
第1章 暗躍する捨て駒たち
第2章 粗暴化する特殊詐欺
第3章 より巧妙に、より複雑に
第4章 暴力団と特殊詐欺
第5章 人生を見つめ直す加害者
最終章 トクサギの行方
著者等紹介
田崎基[タサキモトイ]
1978年生まれ。神奈川新聞記者。デジタル編集部、報道部遊軍記者、経済部キャップ、報道部(司法担当)を経て、現在報道部デスク。憲法改正問題、日本会議、経済格差問題、少子高齢化問題、アベノミクス、平成の経済などを担当し、取材を続けている。参画した神奈川新聞『時代の正体』取材班が、2016年度JCJ賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
アキ
120
連日報道されている特殊詐欺。2003年から2021年までの累計被害額5743億円。2009年に1317億円と報じられてから約4.3倍に膨張している。オレオレ詐欺、還付金詐欺など9つの類型があり、強盗、傷害、殺人未遂など粗暴化している。著者は新聞記者。加害者への取材で、受け子、出し子、運搬役など細分化され、テレグラムなと証拠が残らならずトイレやコインロッカーを利用した巧妙な手口と暴力団の関与。なにより若者がSNSで高額の闇バイトと知りつつ簡単に加害者となり家族への暴力を脅しに沼にはまり込む危険性を指摘する。2023/02/02
ma-bo
71
特殊詐欺の実態を逮捕された犯人側(末端の実行犯が多い)からフォーカスしてまとめたノンフィクションルポ。ただ事件の羅列に終始しまとまりに欠けていた様に思う。もう少し分析や対策等にも言及してほしいかな。2023/01/02
みこ
43
特殊詐欺の実態を逮捕された末端の実行犯に取材を重ねることで書き記す。若者やお金に困った人たちが気軽に高額バイトに手を出そうとした結果、詐欺の片棒を担がされる。挙句、トカゲの尻尾切りのように切り捨てられ、組織の中枢にまで捜査の手が及ばないようになっている。NHKなどテレビでは騙されないようにと啓発しているが、違法薬物同様、若者たちに安易に手を出さないように伝えることも重要である。2022/12/24
ぽてち
38
オレオレ詐欺やキャッシュカード詐欺盗等を総称して特殊詐欺という。こんな馬鹿げた詐欺に引っかかるわけはないと慢心していると、最近こいつらは強盗にも変わるらしいから油断ならない。しかも奴らには“上”がいて、ノルマを課されているのだとか。楽して金を稼げるはずが、非正規雇用と変わらない(むしろもっと悪い)境遇に落ちてしまう。さらには暴力団までもが参戦してきて楽しい限りだ。読みながらいろいろ対策を考えたが、極貧暮らしのぼくはなにも心配する必要がなかった。内容は良いのに校正漏れが多すぎる。この手の本では致命的だ。2023/01/12
livre_film2020
36
最近よく特殊詐欺の犯罪が報道されているため、どういう実情なのか知りたくて読んだ。逮捕されるのは10-20代がほとんどだが、彼らは末端で、上層部から切り捨てられた存在だ。上層部や支持役と実行部隊とには繋がりがない。記録が消えるSNS(テレグラムやシグナル)を用いて犯行が支持され、受け渡しは接触しなくてよいコインロッカーや公衆トイレで行われる。最初に個人情報を晒した上で闇バイトを請け負うため、「やめたい」と言えば恐喝されて犯罪を強要される。全ての始まりはSNS。高収入を謳う闇バイトに応募するところから始まる。2023/05/21