出版社内容情報
昭和史講義シリーズ最終刊の下巻では、戦後に黄金期を迎えた日本映画界を中心に、映像による多彩な大衆文化・サブカルチャーを主に扱う。昭和史研究の総決算。
内容説明
戦後の昭和は、世界的にも評価され黄金期を迎えた日本映画界を中心に、映像による多彩な大衆文化・サブカルチャーが花開いた時代だった。『昭和史講義』シリーズの最終配本となるこの戦後文化篇の下巻では、さまざまなジャンルの映画作品とそれをつくった監督たち、テレビドラマからアニメ、雑誌に至るまで、百花繚乱のメディア文化を、一九の論点から第一線の研究者がわかりやすく解説する。『昭和史講義』シリーズを締めくくる完結篇にして、昭和文化史研究の総決算となる一冊。
目次
戦後の木下惠介と戦争
『君の名は』と松竹メロドラマ
成瀬巳喜男―映画の面影
ゴジラ映画
サラリーマンと若大将―東宝シリーズ映画
新東宝の大衆性・右翼性・未来性
『叛乱』―日本における政治歴史映画の特質
三隅研次と大映時代劇
日活青春映画―「御三家」と吉永小百合
東映時代劇〔ほか〕
著者等紹介
筒井清忠[ツツイキヨタダ]
1948年生まれ。帝京大学文学部長・大学院文学研究科長。東京財団政策研究所主席研究員。専門は日本近現代史、歴史社会学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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Inzaghico (Etsuko Oshita)
10
川本三郎が書いた成瀬巳喜男の章は、ほかの著者と比べると読みやすいと思うのは贔屓の引き倒しか。成瀬が戦意高揚の映画を撮らなかったこと、成瀬の撮影は9時5時で終わったこと、そのあと飲み会などしなかったことなど、成瀬の人柄がよくわかる。だからあのような映画が撮れたのだなとも。菊田一夫は劇作家として名を成したが、テレビでなぜ活躍できなかったのか、という説明も面白い。本人が家族団らんを知らなかったから、テレビ揺籃期の家族団らんものが書けなかったという見立てに、親がいない子どもが珍しくなかった時代を思う。 2022/11/28
田中峰和
6
日本映画は戦後、どのように発展・変化してきたのか。第9講「日活青春映画」は映画界の斜陽化に日活がどのように対応したのかがわかる。石原裕次郎、小林旭、高橋英樹、吉永小百合の4人を軸とするスターシステムも飽きられ次の手を打つ必要があった。舟木一夫や西郷輝彦を軸とる歌謡映画路線が始まる。テーマは観客層に合わせ、若者への応援歌、励ましが求められる。まさに「いつでも夢を」はその代表といえる。第10講「東映時代劇」は華麗な殺陣を魅せる映画が飽きられ、黒澤明監督のリアリティが評価され、残酷時代劇が増加していったのだ。2025/05/04
あるまじろの小路
0
昭和史講義シリーズの最後は戦後の映画を中心に論じられます。今では映画は完全に「数ある娯楽の中の一つ」でしかありませんが、当時は娯楽の王様であったことがよくわかります。大衆娯楽という形を借りて、敗戦を受け入れざるを得なかった国民の、おおっぴらに口に出しては言えない屈折を表象・代弁し、大きな支持を得ます。テレビの普及に伴って映画産業は斜陽の道をたどりますが、歌謡映画という新たなジャンルを開発し、逆に制作費が限られているがゆえに身近な青少年の悩みを取り上げて時代の青写真となっているのは実に興味深いですね。 2023/05/09
辻井凌|つじー
0
映画を中心にビジュアルおよび音声メディアに焦点をあてた本。僕はあまり映画を見ないこともありよくわからん箇所も多いが、昔の映画好きにはたまらん内容かも。個人的には森繁久彌の演技とマンネリにまつわる名言にしびれた。2023/02/28
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- 和書
- 長田幹彦全集 〈第2巻〉