出版社内容情報
人の世に熱あれ! 人間に光あれ! 部落差別からの解放を訴えて結成された全国水平社。戦時体制下に消滅するまでの組織、思想、運動、人、その全体像に迫る。
内容説明
全国水平社が創立されてから、二〇二二年で一〇〇周年を迎える。その存在は二〇年間であったが、近代日本社会に存在する部落差別からの解放を、部落民自らが求めて結成した画期的な社会運動団体である。戦時体制下に組織は消滅するが、苦悩に満ちたその軌跡は、自由と平等を願う私たちに多くの教訓を与えてくれるはずである。
目次
序章 近代の部落問題
第1章 全国水平社の創立
第2章 社会・無産勢力・権力
第3章 部落差別と糺弾闘争
第4章 日本と世界への発信
第5章 思想的潮流と路線対立
第6章 全国水平社の消滅
著者等紹介
朝治武[アサジタケシ]
1955年、兵庫県生まれ。大阪市立大学卒業。大阪人権博物館館長。専門は水平運動史を軸とした近現代部落史(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
かんがく
10
日本史の教科書では部落解放運動の組織として「光あれ」の宣言が紹介される程度であるが、朝鮮人や沖縄人などのその他のマイノリティとの協力や、自由主義、共産主義、無政府主義、民族自決主義、時には国粋主義など様々な思想の影響を受けながらその運動を展開させていったことがわかり興味深かった。2024/09/17
U-Tchallenge
3
全国水平社ができ100年となる。この節目に出版された一冊。全国水平社や水平社運動について網羅的に理解できる内容となっている。歴史を知ることで現在や未来へとつなげられる、と思っている。ただ歴史の部分を読むのはなかなか骨が折れるものであった。序章と最終章である6章は、現代の部落解放運動にも触れられているので、そこだけでも読む価値はあるように思った。2022/05/10