出版社内容情報
葛藤を言葉にできない「語れなさ」を抱えて立ちすくむ「ひきこもり」。その支援の本質は〈聴く〉ことにあるのです! 読むとなぜかホッとする支援論。
内容説明
「ひきこもり」支援とは“生”を支えることです。その根本には“聴く”ことが深く結びついています。“聴く”こと、それ自体がその人の存在を肯定し、意味づけるからです。一方の“生”が他方のそれを圧倒することなく、できるだけ対等につきあっていくには、どうすればよいのでしょうか。自分とは異なる人生を歩み、異なる価値観を培ってきた相手と、どのように向き合っていけばよいのでしょうか。本書では、「ひきこもり」を通して“聴く”ことを考えていきます。
目次
第1章 「ひきこもり」支援の現在
第2章 調査者としての経験から得たこと
第3章 “聴くこと”から支援を掘り下げるための五つの論点
第4章 “語れなさ”と向き合う1
第5章 “語れなさ”と向き合う2
第6章 支援論―フラットな関係を目指して
第7章 居場所論―フラットなお付き合いのための一提案
補論 コロナ禍のもとの「巣ごもり生活」と「ひきこもり」は同じか?
著者等紹介
石川良子[イシカワリョウコ]
1977年神奈川県生まれ。松山大学人文学部教授。専攻は社会学・ライフストーリー研究(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
とろ子
8
〈生〉を支える支援で最も重要なのは〈聴くこと〉 きっとそうなのだろう。そして〈聴くこと〉は非常に難しい。相手が話してくれるということは、こちらを信頼してもらわなければならず、信頼してもらうにはこちらの人格が問われる気がする。人格を磨いてからしか聴けないとなると死ぬまで聴けないかもしれない。 「受け入れる」ではなく「受け止める」「寄り添う」 出発点は「分からないことが分かること」分かったつもりがネック 〈動けなさ〉=生きるかどうかと格闘していて体が硬直2023/01/24
ブルーツ・リー
4
著者も最初に述べているように、これは「論」だね。 議論も大切だけれど、引きこもりの当事者からしてみたら、いくら議論を尽くされても、実際に何か支援をしてくれなくては助からない。というのが実情ではないだろうか。 著者もあとがきで「何もできていない」と書いていて、その自覚は、その通りなのだと思います。 理論があったとして、大事なのは、その論に基づいて「どのように」助けるか。という事。 研究のような内容よりも、実際の現場で引きこもりの人を助けている人の方に、より強く、自分はシンパシーを感じます。2022/02/14
しゅんぺい(笑)
4
最近読んだ、オープンダイアローグの本に通底する内容やったように感じた。聴くことがそのまま支援になる。なかなか、これが支援なんですって言いづらいけど、そういうことから時間かけてやっていきたいなあ。ひきこもりの方たちの「語れなさ」についての記述は興味深かった。2022/01/11
かばお
2
ひきこもり研究者の約20年近くの経験をもとに書かれた一冊。大変参考になった。当事者の動けないことと語れなさへの考察は勉強になった。支援者として先回りしてしまったり,自分の基準で当てはめてしまいがちなのは気を付けたいところ。自分が意識しているのは,たくさんの選択肢を相手に提示することであり,マインドセットとしては自分もいつか働けなくなるかもしれない,実際に半年近く休職したし,誰にでも起こりうることだなというもので,最終的に働けなくてもいいのではないか?とは思っているが,相手からはどう見えているだろうね。2022/12/04
プランター菜園
0
仕事でひきこもりの方に関わっていたが、なんかもやもやするところが常にあって、それを言語化してくれている感じだった。他の著作も読みたい!2024/03/09
-
- 電子書籍
- ヒナのままじゃだめですか? 分冊版 1…