出版社内容情報
環境社会学とはどんな学問か。第一人者がみずからの研究史を振り返りつつ、その魅力と可能性を説き明かす。環境問題に関心をもつすべての人のための導きの書。
内容説明
環境社会学とはどのような学問なのか。近年、「持続可能な未来」が国際社会の最重要課題となるなかで、この学問はいったいどんな道筋を私たちに示してくれるのか。本書では、日本における環境社会学の立ち上げに大きく寄与し、その研究を長年牽引してきた第一人者が、みずからの研究史を振り返りつつ、この学問がもつ魅力とその可能性を浮き彫りにしていく。他人事でなく自分事として環境問題を受け止め、よりよい未来を模索しようとするすべての人のための導きの書。
目次
第1章 社会学との出会い
第2章 新幹線公害問題の衝撃
第3章 社会運動をどう説明するのか
第4章 原発閉鎖とアメリカ市民社会
第5章 コンセントの向こう側―青森県六ヶ所村
第6章 環境社会学者の自覚
第7章 持続可能な未来をつくる
著者等紹介
長谷川公一[ハセガワコウイチ]
1954年、山形県生まれ。東京大学大学院社会学研究科博士課程単位取得退学。社会学博士。東北大学大学院文学研究科教授などを経て、尚絅学院大学大学院特任教授、東北大学名誉教授。専門は環境社会学、社会運動論、社会変動論(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
きみたけ
59
著者は尚絅学院大学大学院特任教授で東北大学名誉教授の長谷川公一先生。環境社会学を長年研究してきた著者が、この学問がもつ魅力とその可能性を浮き彫りにした新書。東北大学教員としてのオンライン最終講義「持続可能な未来のために--社会学的な対話をもとめて」をもとに内容を再構成した一冊。新幹線公害問題や福島原発事故・青森の核燃料処理施設問題などを取り上げています。2023/09/15
寝落ち6段
16
環境社会学の対象は、環境問題、環境と社会との相互作用、人々の環境観や環境意識・環境文化である。騒音や大気汚染などの公害をはじめとし、エネルギー問題、環境活動家の実態調査、自然を生かした街並みなど幅が広すぎる。それゆえに、現在の環境社会学が学問の中で置かれている立場の脆弱さも紹介されていて、より理解を深められる。そして、なにより環境社会学は、環境と社会を結びつける学問であるため、持続可能な社会を実現するための大きな手段になっているという強みがあるというのも納得がいく。2022/09/26
ネムル
5
内輪ネタの半生語りに終始し、置いてけぼりの感が。2023/09/27
Mealla0v0
4
日本の環境社会学の創設者のひとりである著者がその半生を振り返りながら、環境社会学へ読者を誘う。最終講義の書籍化ということもあって、入門書というよりは紹介状といった印象。社会問題や社会運動としての公害問題への注目から、次第に日本独自の形で環境社会学が形成されていく立会人となったという。こうした記述のなかに、環境社会学の持つ規範的価値が語られている。そのため、諸概念の説明といった入門書的な記述はほとんどない。その意味では、肩透かしの感もあろうが、時代の生き証人の語りには相応の価値があると言ってよい。2021/07/15
なーちゃま
3
あの偉大なる『社会学』を浜先生とまとめた長谷川公一、実は環境社会学者であったことが判明。最初は入門書として教科書的な記述を期待していたが、彼の研究ライフを軽やかに書きつつ社会問題を提起するという読みやすい本だった。特に私が学士・修士で学んできたこと、彼の研究に役立つことがてんこ盛りで、読んでよかった。勉強して他の本も読みたい。2022/03/25