出版社内容情報
デリヘル、ソープなど業態を問わず、危機に直面した性風俗。世間からは煙たがれ、客足は遠のき、公助も頼れない中、いかにしのぎ切ったのか、渾身のドキュメント。
内容説明
二〇二〇年、夜の世界はかつてない危機に直面した。新型コロナの感染拡大により性風俗店への客足が途絶え、働く女性たちは瞬く間に収入と居場所を失った。窮状を誰にも話せず、公的支援からも排除されたまま、孤立と貧困に苦しむ彼女たちを助けるために、これまで声を上げなかった人たちが声を上げ、動いた。コロナ禍を生き延びるため、夜の世界と昼の世界との間に橋を架けるための苦闘に内側から迫ったドキュメント。
目次
第1章 LINEの通知が鳴りやまない―風テラスの百日戦争・前半戦
第2章 崖っぷちの性風俗―風テラスの百日戦争・後半戦
第3章 立ちはだかる「性風俗の壁」
第4章 歌舞伎町に立つ
第5章 夜の世界を孤立させるな
終章 誰もが性風俗の当事者に
著者等紹介
坂爪真吾[サカツメシンゴ]
1981年新潟市生まれ。東京大学文学部卒。一般社団法人ホワイトハンズ代表理事。新しい「性の公共」を作る、という理念の下、重度身体障がい者に対する射精介助サービス、風俗店で働く女性の無料生活・法律相談事業「風テラス」など、社会的な切り口で現代の性問題の解決に取り組んでいる。著書多数(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ばんだねいっぺい
19
風テラスというのがあるのを初めて知った。自助・共助だけで完結することなく、公助に繋がるようにできる仕組みを構築しなくてはならない。スティグマかぁ。いろいろと大変なことがたくさんある。2024/02/20
崩紫サロメ
18
コロナ禍における性風俗業と、困窮の中にある女性たちを「風テラス」として支援する事業を紹介する。性風俗の世が、DVや精神疾患のため働けず、制度の隙間に落ち込んだ人たちのセーフティネットとして機能しているとしてきし、給付金の支給対象からこうした業種が外されたことに対し、集団訴訟を行っていること、そのための資金調達の流れなど、学ぶところが多い。性風俗がセーフティネットとなってしまわないために何が必要なのか、などいろいろ考えさせられた。2021/06/01
としP
11
坂爪(兄)さん、お疲れ様です。会社員と違って、会社に所属してれば賃金がもらえるわけじゃないのが風俗業のキャストですよね。しかも職業柄、公的機関や親族間にも頼りづらいですからね。社会の犠牲者にしないように配慮していなないと。寄付できるお金はないですが、坂爪(兄)さんの本をこれからも読んでいきます。2021/05/16
てくてく
10
昨年来のコロナ禍において性風俗従事者が陥った苦境、悲鳴を上げる女性たちへ一団体として何をしていたかを紹介している。家族から逃れるために働いていたためいざというときに家族に助けを求めることができないこと、平時において納税(確定申告)などを十分に理解していなかったため給付金需給などで不利益を被る可能性があったこと、助けを求めること自体をためらう人々、業界としてまとまりづらいことなど、いろいろと学ぶ点が多かった。2021/05/02
Satoshi
9
コロナ禍で最も槍玉にあがった夜の世界。そこで働く風俗嬢たちの相談所として開設した風テラスの活動記録。公助から外され、公的機関へのアクセスも困難な状況は感情論では語れない。社会で生き抜く教科書とか無いのだろうか?2022/04/25
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