内容説明
平安時代には父親などの「経済的庇護者」、中世には「主従制の主人」との関わりで使われた「頼む」という言葉。また、頼み頼まれる社会関係は近世に「義理」概念を生む基盤となるなど、日本史のなかで意味を変化させてきた。その変化は人と人の結びつきの変化を表している。『万葉集』『源氏物語』から「一揆契約書」「頼み証文」まで、様々な史料に現れる「頼む」の変遷を丹念に読み込み、日本人の社会的結合を描く、まったく新しい社会心性史の試み。
目次
プロローグ―秀吉の遺言から
第1章 古代の「頼み」
第2章 武家主従制の展開と「頼み」
第3章 南北朝争乱のなかの武士と惣村
第4章 一揆契約と戦国家法
第5章 戦国大名と天下統一
第6章 「頼み」から「義理」へ
エピローグ―頼み証文の出現
著者等紹介
白川部達夫[シラカワベタツオ]
1949年北海道生まれ。東洋大学文学部史学科教授。日本近世社会史(民衆社会意識論)、日本近世経済史(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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みこ
12
タイトルから文化論的なものを期待したが、人と人との結びつきに関する歴史の本だった。一括りに武家政権の時代と言っても自衛意識が強く横のつながりを重視した室町時代と、主従関係、身分制度が樹立し、縦の関係が強くなった江戸時代では人々の意識も随分と異なるようだ。2019/08/13
onepei
4
「頼む」は「頼もしい」とか「頼りになる」からはじまっている。いろいろ興味深かかった2019/11/04
coldsurgeon
4
「頼む」ということは、古代日本の時代から存在したことはわかった。しかし、日本人はなぜ頼むのかは、よく分からなかった。2019/08/11
B.J.
3
土居健郎・甘えの構造では、言い換えれば、たのむ、とは甘えさせてほしいということにほかならない。・・・本文より2023/06/11
oooともろー
1
「頼む」ことの意味を古代から近世までたどる。現代にもまだ残るつながり。2021/06/25