出版社内容情報
過激派と穏健派はどこが違うのか? なぜISを「破門」できないのか? イスラームの対立構造を浮き彫りにする一冊。
1 ~ 2件/全2件
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Aster
66
凄い。イスラム教への見方が全く違うものになった。イスラム教というと悪いイメージが先行しがちなのは否めなかったが、それは情報を流す側もあまり気にしていないからだろう。宗教に関してある問題が生じた時、それは個人や集団由来の問題なのであって宗教自体に問題があるのではない。偏った知識は自分で本を読んで解消していかないといけない。ただ、偏ったかどうかなどは本を読んで改めて知るものである…最初から気づく人はいない。2020/03/21
おさむ
36
イスラーム教は難しい。この本を読んでその思いを強くしました。それは、この宗教が過剰なまでに寛容であることの裏返し。ムスリムとは信仰心を持つもの。ただ、内心でアラーを信じていれば良く、厳しい戒律など身体的な行為は伴わなくても良い。また、異端者を出す事には極めて抑制的。そして、カリフの復活(1924年以来、カリフは不在)をめざしており、いまの政府はあくまで「みなし」の権力でしかない。だから、過激派に強くあたれない。ゆる〜い宗教だからこそ広く普及した一方で、対立も生まれやすい。2020/02/13
Francis
20
これも猫町倶楽部のスピンオフ勉強会の課題本だったもの。私はその時参加できなかったが、本を入手したので読んでみた。現代のイスラム教のいわゆる「イスラム過激派」など、非イスラム教徒には理解できない現象をどうとらえたら良いのか、この本でようやく明らかになったと言える。イスラム教スンナ派は私の所属するカトリック教会のような強固な教会組織がないためにクルアーン、ハディース、シャリーアの解釈でいくつかの派に分かれている状態は教会ごとに異なるキリスト教のプロテスタントに近いのかもしれない。イスラム教を知りたければ必読。2021/01/18
Porco
20
ISなどの過激派が、イスラム教の中ではどう位置づけられているのか。穏健派からどういう非難のされ方をしているのか。イスラム教の言論空間はどういう仕組みになっているのか。といったことを、わかりやすく説明してくれています。すごく良い本に出会いました。2020/06/01
はるわか
18
スンナ派ムスリムの過激派と穏健派の違いについて。イスラームという宗教は「信」の宗教、心に中に信仰を持つことでムスリムとなる(日本の宗教は「術と効能」)。信仰の有無と行為の正当性は分けて考えられる。そのため酒を飲んでも豚を食べても罪を犯してもムスリム。シャリーア(神意)の施行は当然ムスリムの義務である点について、ジハード主義と非ジハード主義の間の争点ではない。ジハード主義者(過激派)とそうでないムスリム(穏健派)の間の争点は、シャリーアの施行を放棄する為政者に反逆することの是非にある。2019/01/08