出版社内容情報
日本文化はカトリックを受け入れられるか。日本的霊性とカトリシズムの本質に迫る。中世哲学の第一人者による待望のキリスト教入門。
稲垣 良典[イナガキ リョウスケ]
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
優希
98
タイトルこそ『カトリック入門』ですが、入門というにはほど遠い本でした。カトリック信徒がより知識と信仰を深めていくための内容に思えます。キリストとマリア、カトリック教会を神学者や哲学者の考えと絡めながら考察されていました。そこには日本人の「霊性」が念頭にあるのでしょうが、西田幾多郎や鈴木大拙の考えに偏りすぎな気もします。ただ、遠藤周作が投げかけた問いは重要でしょう。ある意味信仰がないと理解できないことが多い。教会と秘跡が信仰の本質というのも独特の考えなのでしょう。2017/03/27
かおりんご
31
全然入門じゃなかったです。そして、長崎の信者の歴史とも関係がなかったです。タイトルだけで借りるもんじゃないですね。大学の授業でキリスト教についてふれたくらいなので、まったくと言っていいほど理解できませんでした。マリア信仰や教会についてなど、興味深いテーマもあったので、もっとわかりやすい本を借りて、基礎知識をつけてから再チャレンジします。2017/01/05
こぽぞう☆
15
まずは、全然入門書ではない。副題に「日本文化からのアプローチ」とあるが、そこもちょっと違う。神秘、秘跡。。2016/12/02
Francis
13
他の方も言ってますが、タイトルに偽りあり。これはカトリック入門にあらず。日本のカトリック信徒が自分の信仰をさらに深めるための本と言うべき。キリスト、マリア、そしてカトリック教会はどのようなものかを中世の神学者アウグスティヌス、トマス・アクィナスなどの議論を参照しつつ考察している。私もカトリック信徒なのだが、これを読んで自分の信仰が深められた、いやむしろ鍛えられた感じになった。前教皇ベネディクト16世の著書への好意的な評価もあって嬉しかった。2016/11/22
白義
11
入門書というレベルではないほど難しいが、しかし内容はそれにふさわしく高度でカトリック神学の真髄を日本思想との対比で真っ向から伝えてくれる。日本思想が排してきた、神による世界の創造という課題を、理性の徹底から理性を越えた超自然に至ることで捉えて、さらにそうした超自然観は西田幾多郎のような内在的な真理観を持つ哲学、日本的霊性とも合致するという。そして、その超自然の境地に読者をなれさせた後、その超自然、永遠の真理に属する神がなぜキリストとしてある時代のある場所に受肉したのか、という神学的な問いにも踏み込んでいく2018/04/14