出版社内容情報
情報産業が生みだす欲望に身を任せ、先端技術に自らの意識を預ける――二四時間デジタル機器を手放せない現代人に何が起こったのか。2つのメディア革命を検証。
内容説明
二四時間モバイル機器を手放せず、情報産業に囲い込まれた現代人の生活。人間が二足歩行へと進化した文字を持ちはじめた時から宿命づけられたこの現象は、二〇世紀に、二つのメディア革命を経て加速する。写真・電話・映画などの技術が人間の意識できない瞬間を記録し、広告・マーケティング技術が我々自身より先に消費・欲望を生み出し、デジタル機器が人間の生活全体を統治していく。人間は自分自身の意識をもう一度わが手に取り返すことはできるのか。そのために何ができるのか。
目次
第1章 メディアと“心の装置”
第2章 “テクノロジーの文字”と“技術的無意識”
第3章 現代資本主義と文化産業
第4章 メディアの“デジタル転回”
第5章 「注意力の経済」と「精神のエコロジー」
第6章 メディア再帰社会のために
著者等紹介
石田英敬[イシダヒデタカ]
1953年千葉県に生まれる。東京大学大学院人文科学研究科博士課程退学、パリ第10大学大学院博士課程修了。現在、東京大学大学院総合文化研究科教授・同大学院情報学環教授(兼担)。情報学環長、附属図書館副館長を歴任。専攻、記号学・メディア論、言語態分析。特に19世紀以後のメディア・テクノロジーの発達と人間文明との関係を研究(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
佐島楓
34
あまり現在の自分に必要な情報がなかったのが残念。2016/04/10
kana
31
改めてメディア論おもしろい。こういう概念が好きだからこの仕事選んだのもあるなーと終始わくわく。メディアを用いることが人間の意識をどう変えたのかをソクラテスの問答にまで遡って探った後、記号論と結びつきどう整理されていくのか、20世紀のもたらしたメディア革命(アナログ/デジタル)が社会にどんな影響を与えたのか、我々はメディアとどう対峙すべきかなどがわかりやすくまとめられています。特に【写真は、あなたが見ることのできない瞬間を撮っている】に始まる「テクノロジーの文字」に関する言及は秀逸で何度も読み返したくなる。2021/05/15
tetsu
17
★5 これはすごい本に出会ったかも。 マスメディアが大量消費の需要を生み出した時代から、 個人個人が意識していない欲望をデジタル空間のアバターが先取りして教えてくれる時代へ。 AIが人間の生活を統治してゆく時代に入ったのでしょう。 メディア・テクノロジーの発展が生み出した現在社会を人間の生理学的特性など交えで解説する、ちょっと難しいけどなるほどと納得できる内容。 3章 現在資本主義と文化産業 4章 メディアのデジタル転回 5章 注意力の経済と精神のエコロジー 2018/03/16
しゅん
14
『新記号論』の良い復習になったように思う。ここでの感想・レビューもそうだが、だれもが統一されたフォントを使用しており、記号自体が同じになってしまっていることが問題だと最近思うようになった。本書は映画もレコードも活字同様の「機械が書く(人間は書けない)文字」として捉えており、そこからデジタル(数字記号への書き換え)移行を考えている。だれかが発明した便利な記号やシステムに頼る万能者、つまり「補助器具をつけた神(フロイト)」としての現代人間の限界を見定めるために、補助としての機能を十分果たしてくれる。2020/08/03
みのくま
14
とても興味深く読んだ。メディアは、思い出や遠くの光景の知覚、運動視、音声など「意識」を生産する。しかもその生産は、人間の知覚よりも下で人間の認知に働きかける「技術的無意識」を基盤にしている。つまり、現代人の「意識」の大部分はメディアによって作られているといっても過言ではないのだ。問題は人間がメディアを知覚できない事で、著者はその対策を呼びかける。(メディア・リテラシーの章はつまらなかった。)ちなみにこのような知覚できないメディアを「亡霊」と位置付け、現代人の「亡霊的生活」と評しているところが良かった。2017/07/23




